ちくま学芸文庫<br> 時間と死 ――不在と無のあいだで

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ちくま学芸文庫
時間と死 ――不在と無のあいだで

  • 著者名:中島義道【著者】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 筑摩書房(2024/10発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480512451

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内容説明

過去・現在・未来という時間の様相は、言語によって作られた概念である。世界はそのつど湧き出しては消えていく“いま”の連鎖なのであり、客観的世界も客観的時間も仮象にすぎない。ならば、「私」が死ぬとは、少なくとも、私が客観的世界から消滅することではなくなる。若き日から「自分がいずれ死ぬとしたら人生には何の意味もない」という呪縛に捉われてきた著者が、本書でついに「死」という問題そのものに対峙する。そして「私の死」の裏側にはりつく過酷な意味から脱却し、「私」は単に人間として死んで終わりであるような存在ではないという地点に達する。著者の哲学的思考の到達点。

目次

はじめに/第一章 時間と「時間」という概念/現在・過去・未来は時間の必然的な存在性格であるのか? /空虚な時間/マクタガート/時間の実在と対象の実在/文法的優位/時間と実在/〈いま〉の長さ/物質の湧き出しと〈いま〉/第二章 過去が「もうない」とはいかなることか? /1 想起と過去/想起は過去の事象に的中しているのか? /フッサールのブレンターノ批判/第一次想起と第二次想起/現に体験したこと/想起の内容と対象/保存されている過去と直線時間/過去への運動? /2 大森荘蔵の時間論を批判する/立ち現われ一元論と過去/過去の制作論への転換/過去自体と物自体/3 超越論的観念論/自己同一的なもの/超越論的観念論と物質/超越論的現象学と物質/物体と物質とのあいだ/第三章 現在が「ある」とはいかなることか? /1 アリストテレスの〈いま〉/知覚する時としての現在/限界としての〈いま〉/微小な〈いま〉/拡大収縮する〈いま〉/時間の空間化? /本来的時間と非本来的時間/2 アウグスチヌスの現在中心主義/精神の延長/本来的現在と非本来的現在/「生き生きした現在」/想起における作用と内容/3 自由な行為の時/行為の開始の時としての〈いま〉/原因としての意志? /〈いま〉と未来との境? /第四章 未来は「まだない」のか? /「まだない」とはいかなることか? /予測された未来とは過去における未来である/未来と無知/神の決定と無知/超越論的仮象/第五章 「私」の死/超越論的統覚と「現存在の感じ」/物自体と英知体/永井均の「カント原理」について/超越論的統覚と「私」の死/「不在」から「無」へ/註/あとがき/文庫版へのあとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミエル

25
久しぶりの中島先生の時間論。今回は〈いま〉と言う概念や認識についてが中心。哲学からのアプローチだけではなく、物理学的見地からも時間(主に現在過去未来)がいかに扱われ捉えられてきたかのダイジェスト版のよう。カントに始まり、アリストテレス、フッサールなど、時間論ではお馴染みの各学者の論理を中島フィルターで解説してくれるのでサクサクと読みやすい。ちなみに〈いま〉論については、個人的にはブラント説が一番しっくりくる。過去とは現在から見るときにのみ存在するもの、これがシンプルで好き。2024/07/26

原玉幸子

20
音楽がテーマだった(から坂本龍一への回想伝を読み始めた)はずなのに、何故今の今に時間に関する哲学関連書を読んでしまったのか不思議でした。大森荘蔵、入不二基義、マクタガート、永井均を粗知っているとの、或る意味倨傲に似た感覚から選んだのか? いつものとぼけた面白さの中島ではないし、敢えて言えば「今現在」が数直線の一点ではなくて帯状であるとイメージ出来たことが、成程と嬉しかったぐらいで、仕事も何だか追い詰められていたので、精神状態と選書のミスマッチでした。ふぅ~落ち着いていきや~(古い!)(◎2024年・秋)2024/09/22

chacha子

4
常に湧き出てくる「今」。これが次の瞬間も存在するかは不明。なるほど。いきなり世界が終わる可能性もある。2024/06/18

深海魚

1
概念vs実在2024/07/08

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