筑摩選書<br> 天皇たちの寺社戦略 ――法隆寺・薬師寺・伊勢神宮にみる三極構造

個数:1
紙書籍版価格
¥2,310
  • 電子書籍
  • Reader

筑摩選書
天皇たちの寺社戦略 ――法隆寺・薬師寺・伊勢神宮にみる三極構造

  • 著者名:武澤秀一【著者】
  • 価格 ¥2,090(本体¥1,900)
  • 筑摩書房(2024/10発売)
  • ポイント 19pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480018076

ファイル: /

内容説明

古代の天皇たちが建立した社寺建築は天皇の血筋を可視化し、即位の正統性を強くアピールしていた。社寺建築の配置タイプは天皇たちの血筋に明確に対応していたのだ。聖徳太子創建の法隆寺若草伽藍は塔と金堂がタテ一列だったが、天智天皇はこれを真っ向から否定し、塔と金堂がヨコに並ぶ法隆寺西院伽藍を建立。一方、天武天皇は三極構造の薬師寺を建立し、その妻持統天皇は三極構造を伊勢神宮の社殿配置に導入した。〈タテ→ヨコ→三極〉の変遷に秘められた天皇たちの戦略を探る。

目次

はじめに──問われなかった四つの視点/プロローグ 謎めく二つの法隆寺/第I部 法隆寺は二つあった/第一章 塔の礎石が庭石に/1 来歴不明の巨石が問いかける/2 信徒総代の“男爵”邸へ/3 神戸の“鉱山王”邸へ/第二章 法隆寺再建・非再建論争があった/1 記録か? 実物か? /2 論より証拠──考古学の勝利/3 あきらかになった西院伽藍の特異性/第三章 何から何まで対照的な二つの法隆寺/1 太子父子の若草伽藍/2 あたらしい法隆寺は〈東西ヨコ並び〉になった/3 列島社会は東西軸を重んじた/第四章 〈太子を拝む寺〉への大転換/1 血筋を代弁する伽藍配置/2 若草伽藍で起きた太子一族の集団自決/3 若草伽藍の全焼時に西院伽藍の金堂は完成していた/4 〈太子が拝む寺〉から〈太子を拝む寺〉へ/5 “法隆寺ファミリー”と“太子コロニー”/第五章 なぜ法隆寺だけ中門の真ん中に柱が立つのか/1 『日本書紀』の中の百済大寺/2 “もう一つ”の系譜/3 反・太子系の〈東西ヨコ並び〉配置/4 三極の芽生え──法隆寺が成功した要因/第II部 伊勢神宮と薬師寺は車の両輪/第六章 神宮・神明造り・アマテラスは同時に成立した/1 伊勢神宮のレゾンデートルと神明造り/2 アマテラスの成立と神明造り/第七章 神話が予告する/1 持統天皇の神格化にリンクする神明造り/2 天孫降臨神話の政治的効用/3 アマテラスになった持統天皇/第八章 古を未来に届ける式年遷宮/1 式年遷宮というシステムの発明/2 内宮に抗う外宮/3 式年遷宮の実際/4 社殿配置の劇的変遷/第九章 薬師寺から伊勢神宮へ/1 特異な社殿と社殿配置はどこから来たのか/2 薬師寺と伊勢神宮の見逃せない共通点/3 薬師寺の三極構造/第十章 伊勢神宮に転移した三極/1 天皇家に流れ込んだ神仙思想/2 水と亀が織りなす道教世界/3 三極は密やかな天皇ブランド/第III部 皇統を定めた三極構造/第十一章 建築群の配置に託されたもの/1 文化力が政治力に転化する/2 建築群の配置タイプと血筋/3 配置タイプと皇位争いの現実/第十二章 血のながれを加速させて本流に/1 持統王朝の誕生/2 持統王朝の確立/第十三章 三極の成り立ちと意味/1 三極の成り立ちと思想的背景/2 道教の成り立ちと流伝のかたち/3 浸透していた道教/4 世界は三極からなる/5 『古事記』『日本書紀』にひそむ三極/終章 時間の中の三極/1 現在・過去・未来/2 三極のゆくえ/エピローグ 三極構造は未来に向かう/読む年表/読む年表1 若草伽藍塔心礎の来歴をめぐって/読む年表2 法隆寺再建・非再建論争史をめぐって/読む年表3 若草伽藍、百済大寺、西院伽藍をめぐって/読む年表4 繰りかえされた吉野行幸をめぐって/読む年表5 法隆寺、薬師寺、伊勢神宮をめぐって/読む年表6 排除された天武の皇子たちをめぐって/参考文献/書き終えて今、思うこと/謝辞

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nori

5
The most interesting chapter is relation to Taoism. It is pity that author did not explain why similar architectures to 道観 are not existed in Japan. As evidences are not found, influence by Taoism in 神道 may not be clarified. 先道後仏 in real history is it? 2025/05/06

onepei

3
おもしろいけどさらなる検証が待たれる2024/12/08

らむだ

3
法隆寺・薬師寺・伊勢神宮を中心に、寺社建築の配置と天皇の血筋・血統の問題を読み解いた一冊。タテからヨコそして三極構造への変遷と大王から“天皇”確立までの流れを辿る。2024/12/05

Teo

2
塔と金堂の並びが縦から横に正反対になったと言われても、正反対?と思ってしまう。中国で縦の並びが先に出来たのは分かる。天子南面す、の世界だから北から南に建築物が並ぶのは理解出来る。それが東西になったのは既に新羅の例があったのもあり日本は東に向いて遥拝するのもあって東西に横になったのかもしれない。なのに入口は南なのだ。ここを上宮王家の系統を否定する為と言われてもうーんとなる。一方で塔が二つになると三極構成だからこれは安定的だ。2024/11/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22151364
  • ご注意事項

最近チェックした商品