岩波現代文庫<br> 貨幣システムの世界史

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岩波現代文庫
貨幣システムの世界史

  • 著者名:黒田明伸【著】
  • 価格 ¥1,804(本体¥1,640)
  • 岩波書店(2024/10発売)
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  • ISBN:9784006004170

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内容説明

貨幣の価値は一定であると我々は常識的に考えている.しかし,複数の通貨が存在して評価が多元的であるという事例は,歴史上,さまざまな地域,時代にあった.交換という行い自体が多様である以上,貨幣も多様にならざるを得ない――.謎に満ちた貨幣現象を,世界史の中で根本から問い直す.

目次

序 章 貨幣の非対称性
1 合算できない貨幣たち/2 手渡される貨幣の論理/3 還らない貨幣/4 多元的貨幣論へ
第一章 越境する回路――紅海のマリア・テレジア銀貨
1 マリア・テレジア銀貨の謎/2 英仏伊白による鋳造競争/3 銀貨流通の実態/4 回路としての貨幣/5 マリア・テレジア銀貨が語る貨幣論
第二章 貨幣システムの世界史
1 見えざる合意/2 地域流動性と支払協同体/3 銅貨の世界と金銀貨の世界――手交貨幣の二極面/4 分水嶺としての一三世紀/5 本位貨幣制と世界経済システム
第三章 競存する貨幣たち―― 一八世紀末ベンガル,そして中国
1 錯綜する貨幣/2 超零細額面貨幣,貝貨の世界/3 競存する銀貨/4 市場の重層性と通貨の競存/5 銀流入はインド・中国に何をもたらしたのか
第四章 中国貨幣の世界――画一性と多様性の均衡構造
1 時代を超越する枠組――「土銭」・「郷価」の世界/2 銅銭経済の論理/3 二つの紙製通貨――鈔と票/4 上下「不」通の構造――秤量銀制度創出の動機/5 自律的個別性と他律的画一性
第五章 海を越えた銅銭――環シナ海銭貨共同体とその解体
1 ジャワの万暦通宝/2 中国における基準銭/3 中世日本における基準銭の形成とその消失/4 中世日本における銭貨流通の特質/5 東南アジアにおける銭貨流通/6 環シナ海銭貨共同体の遠近
第六章 社会制度,市場,そして貨幣――地域流動性の比較史
1 貨幣と制度的枠組/2 自己組織化された地域流動性――伝統中国における小農と市場町/3 地域流動性の他律的調整――絶対王政期以前の西欧/4 地域流動性の座標/5 地域的信用と地方銀行/6 伝統市場の四類型
第七章 本位制の勝利――埋没する地域流動性
1 一国一通貨原則の歴史性/2 小農経済と在来通貨の変容/3 紙幣と兌換性/4 脱現地通貨化と恐慌
終 章 市場の非対称性
1 貨幣需要の季節性と通貨の非還流性/2 「財の交換」と「時の交換」/3 市場階層の不整合/4 市場の水平的連鎖と垂直的統合
補 論 東アジア貨幣史の中の中世後期日本
1 常識の非「常識」/2 明代私鋳の北宋銭,開元銭,そして永楽銭/3 階層化する環シナ海の銭貨――悪貨は良貨を駆逐せず/4 分岐する近世東アジア
あとがき
増補新版あとがき
岩波現代文庫版あとがき

参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ばんだねいっぺい

29
語り口が立て板に水のごとくで圧倒的だった。あとがきを読んでからの方が内容が入りやすいかもしれない。貨幣は、とある空間のみんなのもので、違う空間へも旅していく。見えざる手によって貨幣も選択されて、時に燃やされて、時に駆逐される。永楽通宝の話は、背筋が寒くなった。2024/06/22

さとうしん

12
貨幣を額面通りの価値で受け取って貰えるのは当たり前なのか?悪貨は良貨を駆逐するのか?本国で使われなくなった後も中東・東アフリカで広く流通したマリア・テレジア銀貨の話を皮切りに、中国の銅銭、銀、紙製通貨、そして日本の状況などを踏まえつつ、多元的、非対称的な貨幣流通・交換の歴史を垣間見ていく。キャッシュレス時代にこうした歴史の知見がどう生きるかという展望が巻末にでも付記されていればなお良かった。2020/04/05

記憶喪失した男

9
貨幣とは何かについて考えるのに、とても参考になる本だ。歴史上に存在した貨幣のさまざまな形態が書かれていて、そのうちのいくつかは想像していなかった貨幣の形態だ。貨幣というものがどれだけ複雑なものなのか思い知らされた。2020/08/14

ゲオルギオ・ハーン

9
冒頭のオーストリアで使われなくなった銀貨がアフリカで決済通貨として利用され、後にはイタリアやイギリスで鋳造されて輸出されていたという話で驚きだった。市場で取引される様々な国(既に亡びた国さえある)の通貨や政府そっちのけで貨幣の交換レートを地域ごとに内部で取り決めるというのは現代の感覚からすると信じがたいかもしれないけど、歴史的に見れば決済や租税支払い用の貨幣と普段の商売で使う貨幣が一致しないことの方が当たり前だった。中国やアフリカ、インドの商売の歴史のことも知れたので収穫の多い一冊だった。2020/05/15

ta_chanko

8
庶民の日常売買で用いられる貨幣(銅銭・貝貨)と、より大きな地域間で用いられる貨幣(銀貨・銀)は、単純に同一レートで交換されるのではなく、受け取り需要や季節の違いにより異なる価値観のもと異なるレートで交換されていた。20世紀前半まで東アフリカ・アラビアの地域間で流通していたマリアテレジア銀貨、東アジアで貯蓄用に退蔵された良質の銭貨、日常取引で流通する鐚線・貝貨…。一国家一貨幣に慣れ親しんだ現代から見て、常識を覆す複雑で重層的な貨幣システムだった。貨幣システムとは、権力に必ずしも従属しない、自生的なものか?2020/09/01

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