内容説明
ある日突然80億人を救うスーパーパワーを手に入れた上原至は、”みんなを守るマン”として今日も人類の平和を脅かす地球外生命体と闘う。致命傷と思える攻撃を受けても完治し、どんな敵をも薙ぎ倒し、どこにでもワープできる彼は生きる伝説となっている。闘うことを強要され、弱音を吐くことを禁じられ、助けられなかった命に想いを馳せる全人類の奉仕者は、全人類の奴隷であった。彼はいつまで皆を救えばよいのか。彼に救いはあるのかーー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
83
グロ鬱ワンパンマン▽上原至(いたる)はスーパーパワーに目覚め、地球外生命体と闘う。身バレ防止のために紙袋を被り普段着で闘う至は「みんなを守るマン」と名乗ったことから「みん守」と呼ばれる。スーパーレーダーは容赦なく至を呼び出し、不死身のみん守は捨て身な戦いを強いられ傷つく。自称ファンは危険地帯に勝手に入り死ぬ、政府はアホ、マスコミはゴミ▽正義感というより義務感で闘うヒーロー。漫画家さんが書いてるので漫画チック。反出生主義。若者新語多め。小中学生にはおすすめしません。2024.10刊2025/01/05
りんご
45
にがあい。苦いわあ。なぜかスーパーヒーローの主人公が日本に来る地球外生命体をやっつけ続けるお話。ヒーローの苦難。賞賛と批判に晒され続ける。難しい漢字や新しい単語が多い目で、今の人がわざとそうやって書いてるのかな。結論は切れ味あってひやっとしたけど、ちょっと落ち着いて考えたら苦悩するヒーローもののよくありそうなエンドかも。いや、私はひやっとしたよ。2025/01/20
PEN-F
35
地球外生命体から世界を守ることを義務付けられた“みんなを守るマン”の苦悩や葛藤、怒り、そして正義のヒーローとは何かを描いた秀作。ヒーローが民衆を守ることは当然の事実だと認識している民衆の無責任の概念。守ってもらうことが当たり前であるという民意が“みんなを守るマン”の精神を蝕んでいく。一度でも任務に失敗すれば苛烈な批判に晒され、任務成功の際は最低限且つ当然の結果と受け流す。そして彼は気付いてしまう。彼の精神や肉体の健全性を奪ってしまったのは地球外生命体ではなく地球内生命体なのだと。2024/11/03
rosetta
23
★★★☆☆突拍子もない設定に目眩のするような言語感覚、ちょっとだけ哲学思考。若い頃の筒井康隆を思わせるような才能かも知れない。スーパーパワーを身につけてしまった大学生の至。紙袋で顔を隠して突然現れる地球外生命と闘うが、危険な現場にわざわざ集まってくる野次馬やSNSで勝手にほざきまくる馬鹿どもにホトホト嫌気がさしていた。とても賢い小学生の弟の辿君の正体が不穏で、漫画版デビルマンのラストのような雰囲気も。知らない言葉が多くてwikiを引きながら、リーダビリティの悪さもあって短いながらも読むのに時間がかかった2025/10/29
もちこ
20
こんなにも正義の味方、みんなのヒーローという存在が可哀想と思う日が来るなんて思わなかった。 でも言われてみれば確かに、「ヒーロー」なんて世間が押し付けている幻想で、一般人が二足のわらじでやる仕事ではないよな…と思う。 なんの相談もなく、無償で、命懸けで、大勢の人の命を守る使命を与えられるなんて、私なら耐えられない。 この本を読んでしまったら、ヒーローものを普通の目で見られなくなってしまうなぁ。 衝撃的な一作でした…。2024/10/14




