内容説明
「わたしはオペラの怪人やドラキュラやコウモリの私生児だったのだ。本宅はアッシャー家であり、おばやおじはポオの末裔だった」(序文より)──ポオの衣鉢をつぐ幻想文学の第一人者にしてSFの叙情詩人ブラッドベリ。その幻の第1短編集『闇のカーニヴァル』から15編を選び、新たに4つの新作を加えた珠玉の作品集。その後のSF、ファンタジーを中心とした作品と異なり、ここには怪異と幻想と夢魔の世界が、なまなましく息づいている。ジョゼフ・ムニャイニのカラー口絵1葉と挿絵12葉を収録した。/【目次】こびと/つぎの番/アンリ・マチスのポーカー・チップの目/骨/壜/みずうみ/使者/熱気のうちで/小さな暗殺者/群集/びっくり箱/大鎌/アイナーおじさん/風/二階の下宿人/ある老女の話/下水道/集会/ダドリー・ストーンのすてきな死/訳者あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
61
レイ・ブラッドベリの第五作品集『The October Countory 』の全訳。ブラッドベリが限定豪華版でのみ公開した題名の意味は、〈十月の国〉は「丘を越えてすぐのところ、森の彼方にある。月明かりのもとでしか行けず、暗闇の中では見過ごしてしまう。その国では、人はある年の秋に受胎し、翌年の秋に生まれる。その国に季節はひとつしかなく、つねに秋なのである。」とのこと。その国に住む、もしくはその国に呼ばれてしまうタイプの登場人物を描いた短編は19編。10月というとハロウィン、その雰囲気に近い不気味な話が多い。2025/01/15
スイ
22
読書会の課題書のため、短期間で繰り返し読んだところ、読めば読むほど好きになる。 一番好きなのは初読から変わらず「大鎌」(思い出すだけでどうしようもない絶望感に胸を掻きむしりたくなる)なのだけど、初読の時は断トツだったのが、他の作品もぐいぐい惹きつけられてほとんど差がないくらいになっている。 物語の展開が怖いというのもあるのだけど、夫婦、家族や親友という、一番近い関係の人と自分の間に明確な違いがあって理解されない・できない疎外感が根底にある作品が多く、その哀しさも魅力の一つのように思う。 時折ちょっと2025/10/20
おだまん
16
ムニャイニの素敵な挿絵とともに新訳で再読。ブラックだけどあたたかみのある、ほの怖さが心地よい怪奇幻想短編集。 10月に読みたくなる本だけど、あとがき読んだらいつでもOKになった♪2024/12/19
斉藤フィオナ
14
ブラッドベリを読むのは初。TVのトワイライトゾーンを思わせたり、映像が立ち上がってくる作品が多いと感じた。好きなのは「みずうみ」(とても美しい、映画的)「びっくり箱」(不思議な空間、視点の転換)「下水道」(ギレルモ・デル・トロの『シェイプ・オブ・ウォーター』を想起した。美しく幻想的)「集会」(これぞ、ティム・バートンのダークファンタジーの世界。アニメを想像)2025/10/15
まさ☆( ^ω^ )♬
12
初読は2023年だったので、そんなに間を空けずの再読。とは言え新訳版という事なので楽しみにしていました。旧版もそんなに翻訳が古いとは感じなかったし、新訳版でも面白さは相変わらず。「こびと」「みずうみ」「小さな暗殺者」「群衆」「アイナーおじさん」「風」「集会」「ダドリー・ストーンのふしぎな死」が特に良かった。ブラドベリの短編集は何度読んでも楽しめます。挿絵がまた素晴らしいですね。2024/12/27
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