ちくま新書<br> バブルと資本主義が日本をつぶす ――人口減と貧困の資本論

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ちくま新書
バブルと資本主義が日本をつぶす ――人口減と貧困の資本論

  • 著者名:大西広【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2024/10発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076472

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内容説明

令和バブルともいうべき株や都市部不動産の高騰、急速に進行する地方経済の衰退。近代英国の労働者のような低賃金に貧富の差が拡大している。老後への不安に付け込み、税優遇などの誘惑によって引きずり込まれた危険なマネーゲームの乱高下はチキンゲームの様相を呈してきた。バブルは壊れて消えるのが必定。マルクスは、資本主義には貧困が必要なことを喝破したが、日本はいま未曾有の労働力不足、人口減少社会に直面している。――日本の末期的状況を、マルクスやエンゲルスの枠組みで読み解く。

目次

まえがき──バブル経済と深刻化する貧困、そして人口減/第I部 貧困がもたらす全国民的危機/第一章 迫りくる人口減の認識は決定的に不十分/「人口ビジョン2100」の超楽観主義/甘すぎる空論は「大衆のアヘン」/世紀末予測8000万人はどれほど甘いか/日本人口は100年後3900万人に/人口予測が甘くなる理由/ほぼすべての先進資本主義国で起きている人口減/貧乏人は子を生むなという「異次元の少子化対策」/自民党による「高所得者へのバラマキ」/大学と地方は大幅に消える運命か? /声が小さい地方自治体、大学業界/第二章 貧困化と株価・地価バブルの同時存在/焼け石に水の賃上げ/賃金よりも配当へ/過去には株価と賃金は連動していた/アベノミクスの異次元金融緩和/資産家優遇に踊って夢をみる庶民/不動産業偏重のいびつな産業構造/アベノミクスで失われた利子所得/異常な低金利がもたらした異常な円安/円安は日本を途上国にする/第三章 迫りくる財政破綻という全国民的危機/借金による借金返済が構造化した日本財政/借金による借金返済は持続不可能/MMTも「シムズ理論」も結局は実質賃下げ論/マルクスの貨幣・国債論/国債の大量発行で利益を得る者たち/異常な円安誘導もこの戦略の一部/第四章 地方経済の崩壊を期待する原発企業と軍事基地/能登半島地震で志賀原発が動いていたら/原発問題は世代間対立の問題/能登半島は人口減少地区の典型例/企業城下町の環境汚染隠し/反対するには「元気」が必要/都市の利益は、農村の貧困から/第II部 貧困の原因を解明した『資本論』/第五章 中間層の貧困化で始まった資本主義/「雇われる以外に生きていけない」状況/強制的な貧困化/下方に分解する中間層/資本主義「外部依存」の論点/ローザ・ルクセンブルクの「外部依存」論/都市・農村間の対立は階級問題/第六章 資本主義の継続に必要だった貧困/年金にまつわる本音と詭弁/貧しい労働者は貧しいままに、の失敗/賃金の上限と下限/利潤(剰余価値)は労働の場で形成される/マルクス経済学の関東派と関西派/数理的に証明できる資本主義的搾取/第七章 奴隷・農奴と同じ現在の労働者/商品としての「労働」をどう見るか/「働かせる」か「食べてしまう」か/見えにくくなった搾取/機械によって完成する労働力支配/市場経済も機械化によって完成した/第III部 バブルと貧困の解消を主張する経済学/第八章 古くて新しい階級論/焦点は「中間層の不満」/超富裕層との所得格差をうめる/平等に反発するネット民/学歴と職業と階級の固定化/身分制の合理性は、職業倫理/現代の「身分制」は生産力的に合理化できるか/第九章 バブルの原因を問う数理マルクス経済学/資産価格高騰の根本原因は低金利/マルクスの利潤率低下法則/「数理マルクス」が解明した正常な金利水準/異常な投資熱/「価格上昇が投資を生む」という矛盾/金があるのに投資先がない/氷河期世代が未婚である本当の理由/マルクス経済学の利子論について/第十章 賞味期限切れの資本主義/致命的な危機意識の欠如/若きエンゲルスが悩んだ問題/支配階級みなが反対するわけではない/「わが亡きあとに洪水は来たれ!」は現代も通用するか/コロナ禍で問題となったこと/人口問題は別/あとがき──日本における労働者階級の状態/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まゆまゆ

11
実体経済から乖離して株価と地価の上昇が続く現在の日本経済はバブルである、としてバブル発生の原因である資本主義が若者の貧困を招き、結果として人口減少を招いていることを警告する内容。平等主義を声高に主張すると反発される現状ではますます資本家による搾取が続く……のだろうか。2024/12/10

小鳥遊 和

7
マルクス経済学者の主張は、森永と同じく言いたい放題で面白い。資本主義の問題点をずばずば指摘する。ただ著者の議論は「日本の人口減の原因は中間層没落」という常識に立脚している点が残念だ。この常識は近藤絢子の実証研究で否定されたのだから。「金融緩和で物価が上昇し実質賃金は低下する」というグラフは良いが、日本だけの現象で他の先進国にはあてはまらない。「金利低下で、預金する庶民は不利益を被り土地と株が上がり資産家が儲かる」仕組みはわかり易い。山田博文『国債ビジネス』を紹介しているのも良い。MMT批判は簡略すぎた。2025/01/09

ゆーみん

2
穿った物の言い方が鼻につくため、あらゆる主張が偏見でしかないと思ってしまい、それが残念。資本主義社会の下では資本家側に立つことが経済的に有利であるとは小生も思う。資本家に企業の経営陣も含まれるのであれば、労働者が資本家に搾取されているのは今も昔も変わらないのも事実だと思う。だからと言って、資本主義から共産主義へというのはよくわからない。共産主義はソ連が崩壊したように失敗した社会システムである。これを持ち出すのであれば、どのように導入するのか主張すべきであろう。2025/02/01

Yoritoku Nakagawa

1
世の中には裕福な資本家と貧困な労働者しかいないという前提はあまりにも偏り過ぎている。2025/01/19

takao

0
ふむ2025/01/30

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