内容説明
若者がどう結束するかで地域が変わることを説いた「現代の若者宿を求めて」、桶・樽の転用を例に余りものの視点から文化の発展を語る「余りものの文化」、闘争文化としてでなく生産文化として日本人がどのように鉄を利用してきたかを述べた「鉄と日本人」、宮本常一最後の講演となった「日本人の知恵再考」など、9編の講演・座談録を収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
45
本巻では地方で行った講演が印象深い。その為地方の底力に触れた話が多いように感じられる。以前別の本で読んで印象深かった、佐渡の八珍柿しかり、鬼太鼓座しかり。そして野田泉光院や菅江真澄等の地方に生きた旅人達の話等。逆に言えばこのように力付けないといけないほど、当時から地方の衰退、中央一極集中というのが甚だしかったとも思えた。この講演から四十年後の今日、一層それが顕著になっている今だからこそ、著者の提言に耳を傾けなければいけないのではないか。それとは関係なく旅人、民俗学者の講演としても存分に楽しめました。2014/09/27
bapaksejahtera
7
宮本の文章は元来晦渋でなく簡明説得的である。講演では更にその性格が強まる。本シリーズは幾つかの講演をテーマごとに纏めた物であるが極めてわかり易い。但しそれ故に思い違いや重複が多くなるがやむを得ない。本書を通して考えるのは日本人が古くから平和的な対人志向を持っていたということだ。本書で何回か述べられる東北のいらたかの数珠に使われる巻き貝が様々な遠方産地由来である事。郵便制度のない江戸時代に日本を横断する書簡の通行が可能であった事。鉄器の加工が農具を中心になされて全国に技術波及していった事等、それを裏付ける。2020/11/19
Hiroki Nishizumi
4
のっけから若者に「就職するな」! 決められた枠ではなく自分が主体的に考えることをしたければ組織に属さない方が良い、官僚は役人だけではない、とのこと。正しいけどなかなか実践しにくい。桶・樽について、手前に引く道具、スキヤキと鯨肉、オシラサマ、笹森儀助、地方の石垣について、などなど。視野が広がる一冊だった。2015/07/04
Nunokawa Takaki
3
2巻も目からウロコの知恵や情報が詰まっている。なぜ日本人は戦争を避けてきたのか、そのカギは男性が包丁を持たないことにあった。昔から包丁というのは料理をするために女性が持つ物であり、男性が手にする事は少なかったという。閉鎖的と言われている日本だが、逆に国内では交流が盛んで、郵便局も無い時代に九州から山形に人伝いで手紙が伝わったりもしていた。また、東京から見るとどうしてもコンプレックスを抱きがちな東北に対しても、卑屈になるなと投げかけている。中々勉強になった。2016/07/07
R
1
コメを中心とする多様な食物文化と入手体制,自然と向き合った生活をしていくための様々な民具,祭祀や生活のための人々の協力体制,これらのことを実地で何十年も調査し,晩年にアウトプットしていく。宮本が語った日本と日本人はもう書物の中でしか出会えないが,宮本が語ったのは昔を懐かしむためではなく,その時の生活をなんとかして豊かにするものであったはず。2022/06/19




