内容説明
世阿弥は、なぜ72歳で遠く佐渡へと流され、彼の地で何を見つけたのか? 室町の都を幽玄の美で瞠目させた天才が最晩年に到達した至高の舞と、そこに秘められた謎に迫る話題作が待望の文庫化!
[内容紹介 詳細]
舞台は世阿弥最後の地・佐渡島。
単行本刊行時、各メディアで話題となった奇蹟の物語が待望の文庫化!
「花なる美は、十万世界を変えましょう」――永享6年 (1434)5月、幽玄の美で室町の世を瞠目させた一人の男が流罪となった。 世阿弥元清、72歳。咎なくしてなぜ、遠く佐渡へと流されたのか? そして彼の地でどう生き、何を見つけたのか? 最晩年に到達した至高の舞と、秘められた「まことの花」とは……。波乱の晩年、その謎と真実に迫る奇蹟の物語。
[推薦文]
●文庫本版
佐渡という鄙(ひな)の地で、作家の直感と想像力は、父と子の無情と愛の物語を創り出す。現代小説が生む幽玄の世界がここにある。
――富岡幸一郎(文芸評論家)
●単行本版
物語と批評が〝幽玄〟の中で一つになる。世阿弥のみが実現し得た世界だが、藤沢周氏は、小説の機能を能う限り駆使して、その再創造に成功した。結末には、ギリシャ悲劇に匹敵するカタルシスが待っている。
――辻原登(作家)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
河内 タッキー
8
足利義教から流罪を命じられた世阿弥。自分と同じように流罪となった先人たちに想いを馳せる。もうこの世にはいない人物たちと対話する幻想の世界。ではあるが、終始温かい空気が流れている話。能を勉強したくなってきた。2025/10/21
拡がる読書会@大阪
2
「風姿花伝」などの著作で芸術論を体系化したことで知られる世阿弥は能楽を大成し、華やかな時代を経験しましたが、晩年には政治的な圧力や家族内の権力争いに巻き込まれ、72歳で佐渡へと島流しにされてしまいます。 実際の歴史にある話なのですが、その時代をフィクション小説にしたもの。 佐渡の民との関わりや自然の中で「人間・世阿弥」としての自己を見つめ直し、芸術家の老境における孤独と崇高な探求していく小説です。 https://note.com/sharebookworld/n/nf5a109f8eef42024/10/26
takao
1
ふむ2024/11/20
陶子Ⅱ
0
能、西行桜、観たい。西行好きな私には2025/09/26
雄徳弓雲禅定門
0
主人公は室町将軍足利義教の勘気を蒙り72で佐渡に配流となった世阿弥元清。都より能登半島を経て佐渡へ渡る様子から物語は始まる。80前に義教暗殺管領の細川氏から特赦が出るまでの佐渡での日常を描いている。正法寺に現存する寺宝、世阿弥の雨乞いの面といわれる鬼神面を現地でみて作品の着想を得、藤沢周さん自身も観世梅若流を学び能を演じることから幽玄の世界を垣間みて執筆されたらしい。私は最後まで楽しく読めたが、本作品、読む人によってはストーリーの起伏や舞台転換が少なく読むのが苦痛になりうる際どい内容でもあると感じた。2024/10/25
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