内容説明
精神科医で小説家が見つけた紫式部の「ネガティブ・ケイパビリティ」とは……。登場人物のおびただしい心表現こそが名作の基本にある。全54帖の大要、主な女君25人の心、源氏の三角関係、特徴的な別れと喪失、心の不安とすれ違い……。新視点による恰好の入門書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
佐藤(Sato19601027)
72
源氏物語が千年に亘って読み継がれてきた秘密の一部を垣間見ることが出来る一冊。帚木先生が源氏物語研究と「香子 紫式部物語」を書く為の源氏物語翻訳から導いた「心」表現の技法を詳らかにしている。人物描写や人との別れを描く際に、あるいは、物語の25人の女性の生き方や人物像を描く際に、「心」表現の違いを際立たせている。例えば、紫の上は「心うつくしく/心用い/すぐれたる心ざし/心にくし」など、浮舟は「夢の心地/若き心地/心弱さ/浮きたる心地/けしからぬ心/心浅く」などで描かれ、人物の性格や位置づけが形成される。深い。2025/03/15
かふ
20
源氏物語を「心」の描写から読む。ネガティブ・ケイパビリティということなのだが、『源氏物語』ほど心を巧みに描いた小説はなく、本居宣長はそれを「もののあはれ」といった。『源氏物語』は三段階の心の変化があり、最初は心に添わないが親密になって、歌のやり取りをする。その変化が激しいほど魅力的な人物として描かれる。歌はその中心になるミュージカルと言ってもよく、各巻が簡潔に紹介されているので復習にも予習にもなるので、面白い。明石の君か紫の上より年下だったのか?2025/10/27
きょう
8
こころ、心、御こころ。源氏物語に使われている言葉を分析してみたら…。執筆時期の近い作品と比べているのがとても興味深いです。「心細し」「心憂し」が女性の作品には多めなのに土佐日記、伊勢物語、竹取物語にはほぼ使われていない(枕草子は心細くない)。落窪物語には使われているので、女性作家による作品ではと推測。光源氏を、女君を次々に登場させるための狂言回しとして見る、ウィリー訳で源氏物語を読んだマルグリット·ユルスナールは紫式部を「中世日本のプルースト」と称したと。光源氏と道長か共に「心長き」人だそうです。2025/04/10
読書家さん#2EIzez
6
最近派生?英語みたいなのがよく出てきてわからないんだが、朝日新聞でネガティブケイパビリティという答え留保について取り上げていたので読んでみた。作者は、ははきぎほうせいと言う人で東大文学から医学に進んでフランス精神科医で二年研修とある。 知とは、こころに生成する多様な心象と一致、区別、把持して自己と世界を理解することとある。 SNSの対等でこのこころの表現が即席の思いつきで発言 気持ちの、イイねが最たるものとある。 こころの危機は日本語にも影響している。平安時代は こころの表現が何百通りあったと2025/02/16
真琴
6
源氏物語の中の様々な「心」の表現は、紫式部のネガティブ・ケイパビリティの中から生まれたと述べられている。女君らの生き方などから生まれる「心表現」の違いは面白く、この視点を踏まえて「源氏物語」を読むと彼女らへの見方も深まると思った。「枕草子」「栄花物語」「和泉式部日記」著者の「香子」などとの対比も面白く読んだ。2024/11/18
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