内容説明
1947年、ユダヤ系の家庭に生まれたアーチボルド・ファーガソンの、驚くべき仕掛けに満ちた成長物語。ドジャースLA移転、ケネディ暗殺、ベトナム反戦運動。50~70年代のアメリカを生きる若者の姿を、緻密で独創的な四重奏で描く。「この本を書くために一生待ち続けていたような気がする」というポール・オースターの、作家人生の総決算となる大長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
166
ポール・オースター、3作目です。 著者作家人生の総決算となる大長篇、菊版、800頁弱、88万字、二段組、完読しました。ユダヤ系ロシア・アメリカ移民の大河青春譚、遺作の一つ手前の小説です。 但し、タイトルの「4321」の意味が解らず仕舞いでした。 著者は、昨年逝去、改めて心よりご冥福をお祈りします。 https://www.shinchosha.co.jp/book/521722/2025/01/11
どんぐり
93
原著が2017年で、オースター晩年の作品。2段組、約800頁。重さ約1kgで、12日間かけて読み終える。同一人物の4つの成長物語。1つは雷に撃たれた少年、もう1つは車に轢かれて昇天するクイアの物語で中断。3番目がジャーナリスト、最後が作家となって終わる。物語の構造は、少年時代、思春期、成人初期、と成長とともに1.1、2.1、3.1、4.1と4つの物語が時間軸に沿って進んでいく。本の読み方としては、1.1、1.2、1.3…と続けて読み進めると、比較的混乱が起きない。そのことに気づいたのは、本書の途中から。→2025/03/20
やいっち
72
「1947年、ユダヤ系の家庭に生まれたアーチボルド・ファーガソンの、驚くべき仕掛けに満ちた成長物語。ドジャースLA移転、ケネディ暗殺、ベトナム反戦運動。50~70年代のアメリカを生きる若者の姿を、緻密で独創的な四重奏で描く。」というもの。 2025/06/20
ヘラジカ
56
最高の物語を、最高の翻訳で堪能。自分にとってポール・オースターは海外文学の入り口だったので、この最大の傑作は特別な思いを抱えながら読んだ。詳細な感想は後日。2024/12/05
ケイティ
36
丸腰で読み始めたが、混乱しかけてざっと前提を踏まえて続行、1ヶ月近くかけてようやく読み終えた。長編ならではの緻密さ、ディテールがさすがのオースターで、上質ながらもハード。ただ、エンディングは達成感以上にその労力をリセットするものだった。これまでのオースターが全て詰まっているような集大成。50〜70年代のアメリカの生々しい空気感に満ち、激動の時代を駆け抜ける主人公のファーガソンの濃密な成長物語であり、どんな生き様も壮大なドラマだと深く没入した。手をつけたらなるべく途切れず読み続けることをおすすめします。2025/07/02