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内容説明
フランス革命で政敵を次々と粛清、最後は自らも断頭台で葬られたロベスピエール。「私は人民の一員である」と言い続けた元祖〈ポピュリスト〉は、なぜ冷酷な暴君に堕したのか。誰よりも民主主義を信じ、それを実現しようとした政治家の矛盾に満ちた姿から、現代の代議制民主主義が抱える問題の核心を鋭く問う画期的評伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
131
「凡そ「独裁者」と呼ばれる人で、ロベスピエールは他の独裁者とは全く異なる」との著者の問いかけから始まる。民主主義を信じそれに身を捧げようとした「清廉の人」が、なぜ独裁者の汚名を着ることになったか。革命の理想の実現のために、汚れた勢力を排除するための恐怖政治。しかし、陰謀論が蔓延し、嫉妬深い連中によって清廉の人が葬られるという歴史。背景に、ロベスピエールの融通の利かない性格や政治センスの欠如があったとはいえ、政治システムとしての民主主義の限界を見る思いがする。民主主義への不信が広がる現代への示唆に富む一冊。2025/01/15
パトラッシュ
130
独裁者には2種類あると思う。抱負や経綸もなく単に権力を欲する者と、何が何でも理想の実現を目指す者と。追い求めるところは違っても、妨げる者を容赦なく排除する点では一致する。敵味方双方から「清廉の人」と認められていたロベスピエールは、間違いなく後者だった。革命の理想を信じた純粋さから、それを邪魔する者が許せず恐怖政治に走ってしまったのだ。信じた理想は全く異なるが、ヒトラーや毛沢東の先駆者ともいえる。妥協を拒んだ理想主義者ではあるが、民主主義とは妥協だと考えられなかったのはなぜか。その部分を解明して欲しかった。2025/01/17
skunk_c
80
フランス革命の後半、恐怖政治で極悪非道のようにいわれることもあるが、実像は極めて真面目な人物というイメージを持っていたが、まさにその通りだった。ある意味真面目すぎて融通が利かない面が強かったようだ。また、革命という社会変動期に、有象無象がうごめく中、ひたすら美徳を求め、政治に透明性を追求する姿勢は、ある意味ナイーヴかつピュアすぎたのだろう。本書から見えてきたのが、陰謀論が如何に自己増殖していくかということ。相互不信と疑心暗鬼に溢れたときの陰謀論は極めて恐ろしい。現代の日本や世界の政治にも通じるものがある。2025/01/05
よっち
30
フランス革命で人民の圧倒的な支持を背景に独裁政治を行い、政敵を次々と粛清、最後は自らも断頭台で葬られた革命家の矛盾に満ちた思想を明らかにする1冊。人民の一員であることや透明な関係性を意識して、勤勉実直だったはずのロベスピエールがなぜ恐怖政治の独裁者となってしまったのか。正しいと信じる方向に進めていこうとする過程だからこそ、理想と現実の間で上手く折り合いをつけていくことは必要で、さらに陰謀論やデマが横行するような状況では、周囲と信頼関係を構築することも簡単ではなかったのだろうな…と改めて実感させられました。2025/01/04
ゲオルギオ・ハーン
28
フランス革命において独裁者のごとく君臨し、多くの人々をギロチン台に送った人物の実像に迫る一冊。あとがきにもあるがかなりの堅物である。「清廉な人物」として革命を成功させてフランスを良くしようという気高い精神と行動は聖人といえるほどだと思う(汚職とは無縁だし、自身の利害計算はしていないように見える)。ただ、それが彼の破滅の理由でもあったと思う。とにかく融通が利かない。理念の異なる人物と対立すると徹底対決となる。当時、宗教家とも評されていたのも納得してしまう。2025/02/22
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