内容説明
北海道東端の港町で行われる水産加工の夏季アルバイトに参加した秀吾は、六人の男女と宿舎に泊まりこみ仕事に励んでいた。しかしある晩、アルバイトの男の一人が遺体となって見つかる。通報しようとした秀吾だが、「警察を呼ばないで」とバイト仲間の一人に懇願され携帯電話を奪われる。秀吾は異議を唱えるが、他のアルバイト達もみな警察を呼ぼうとしない。どうやらこの宿舎にいる者達は、それぞれ人に言えない秘密があるようで……。一夜のうちに次々と見える世界が反転する傑作サスペンス!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさきち
70
人里離れた北海道東端の漁港に集まった季節アルバイトの7人の男女。その中のリーダー的存在の男性がある夜崖下で死体となって発見され、暗い夜で隔離された宿舎の中で残された6人がことの真相について考え、互いを疑い、時にいがみ合いながら一晩を過ごす。そんな中で明かされるそれぞれ趣の異なる各人の闇の部分。徐々に明かされるそれらの事情と、その中で形を変えていく人間関係の絡み合いが、映像にしたらまた面白そうだなとの印象を抱きながらの読了です。2024/12/12
キムチ
68
いい意味で、令和の社会が見える。北海道が舞台だけど、手垢が付いた北海道感がなく、季節労働者の後ろ暗い様な温度にヒリヒリした。一個の遺体からこれほどまでに暗部が迸って行くのか、頁ターナー化させちまう。7人の事情がとってつけたもんじゃなく、あるある情景。僅か一夜の時間軸の中でこれだけを纏めているのは上手いなぁ‥と思った。熊楠とは大きく異なる社会画像。正当のバイアスとか執着、しがらみ、踏み出す一歩とか色々考えて読了。Z世代の一つ前、我が家の息子たちから見た人生論が面白すぎる。2025/04/28
nemuro
55
『われは熊楠』(昨年12月読了)に次いで2冊目。本年1月「くまざわ書店東神楽店」にて、帯の「北海道東端の港町で季節バイトに集った7人のうち、1人の男が死体となって見つかった。宿舎では熾烈な犯人捜しが始まって」を、かつて最東端のマチに3年住んだ者として見過ごせず、期待を込めての購入。町から離れたマスの解体作業場で夏限定のアルバイト。工藤秀吾・高井戸唯・田辺亮・佐藤真里・矢島彩子・乾佳靖・仲野大地。警察に通報されない中、7人それぞれの視点で順次語られる。たった一夜の物語。人生、取り巻く社会が語られ、悪くない。2025/04/18
きりん★
52
北海道の期間限定短期住み込みバイトに集まった人たち7人。淡々と暮らしていく中でリーダー的な男性が寮から離れた所で血だらけで死んでいるのを発見。警察に通報するかしないか、そこからのサスペンス物語。気になって一気に読んだ。一人一人の人生もそうだが、心の内が大変悲しくて切ない。著者の才能を感じる一冊でした。2025/04/19
まこみん
38
北海道東端の港町での夏季アルバイトに集まった7人。宿舎に泊まり込みで水産加工に取り組む日々だったが、ある夜リーダー格の仲野が遺体で見付かる。直ぐに警察に通報しようとした秀吾は4人から反対されスマホも取り上げられる。其々に秘められた過去があり、この地に逃げてきたのだ。不法滞在、毒親の支配、夫のDVと義理の子の育児ノイローゼ、祖母の介護。一人で抱えるには重すぎる事ばかり。正義感が強い秀吾には初め共感していたが、次第に強すぎる拘りに違和感も。ラストはこの先上手くいくのか疑問だったがこの選択を進むのが次への道か。2025/08/18
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