内容説明
恋のライバルは、白鳥だった!?結婚、終活、離婚、妊娠……。
身に起こりうるライフイベントを、不思議な軽妙さで描く6つの短編集。
「家猫」
ハイスぺ彼氏には化け猫みたいな母がいる。もしほんとうに結婚するなら、あの化け猫を少しずつ弱らせる方法を本気で考えなくちゃならない。
「ローゼンブルクで恋をして」
突然行方をくらませた父。終活のために向かった先は、瀬戸内の選挙事務所。そこには小柄で逞しい女性候補者の姿があった。
「川端康成が死んだ日」
母は、あの日を限りに帰ってこなかった。当時の母の年齢を超えてしまった私に、母から最後の願いが届く。
「ガリップ」
ガリップが想像妊娠したのは、わたしたちが結婚した翌年の夏だった。妻と夫とメス白鳥の三角関係の顛末。
「オリーブの実るころ」
斜向かいに越してきたのは、前科者の老紳士。品のいい佇まいからは想像もつかない大恋愛の行末は?
「春成と冴子とファンさん」
彼の両親のもとへ、なぜか一人で結婚報告に行くことに。離婚した二人は、思い思いの生活をしていて……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
73
6話の短編集。読み終えて時間をおき、どうしたものかと悩みながらもう一度読みました。「不可解、不穏」から始まり、だんだん、これもやさしさの一つ、幸せの一つかなと思えるようになりました。ただ「川端康成が死んだ日」は、母親の心の死と残された子どものことを思うとつらい内容でした。表題作。着地は穏やかでしたが、昔起きたできごとは残酷で、人はこんな目に見えない重いものを抱えて生きているということを、明るくおしゃれな印象のオリーブといっしょに語る作者の感性がいいですね。2024/11/27
優希
45
結婚にまつわる短編集でした。現実的な問題を描いているのに、不思議なユーモアがあります。ほっこりしたり切なくなったり、感情が揺れ動くのを感じました。2025/04/07
エドワード
32
心暖まる短編集。父の終活は市議会議員候補のシングルマザーの選挙の応援だった「ローゼンブルクで恋をして」。「川端康成が死んだ日」は昭和47年4月16日。当時の世相が懐かしい、不思議と郷愁に満ちた一編。この兄弟は私だ。標題作が実に良い。三軒長屋の隣人・ツトムさんの数奇な人生、ノートメアシュトラーセこと北海道でのささやかな恋の大きな実り。「ガリップ」とは羽を傷め渡りのできない白鳥。夫と私に嫉妬するメスのガリップとの穏やかな生活。「家猫」は例外で、これを読んだ若者は「結婚ってめんどうくさいなあ」と思ってしまうね。2026/03/03
すたこ
20
★★★なんというか、色んな人がいて色んな生き方があるんだよな。ということをユーモアを交えた六編を通して楽しく読めた。圧倒的に「ガリップ」が好み。とても好き。「オリーブの実るころ」も良かった。中島京子さんの魅力的なユーモアのある会話が心地好い。 そして、表紙が大好き!可愛い。2025/12/13
マダムぷるる
16
ユーモアと不気味さが絶妙に混じり合う中島京子さんらしい短編。帯に超絶リアルなファンタジーとあるがまさに言い得て妙。全編通して「家族(夫婦)って色々よねー」と言いたくなる作品ばかり。どれも大好き。敢えて「川端康成が死んだ日」について。昭和の風景が浮かんでくる作品で、ヒッピー風の服とかプロレスの話とか、作者と同世代の私には懐かしささえあった。ウーマンリブが叫ばれた時代にそれまでの価値観から抜け出そうとする母の姿を浮き上がらせる描写は印象的。6作品のどれも中島京子の上手さが際立っていて、ホントに面白かった。2024/12/06




