内容説明
2018年1月、新潟県三条市でJR信越線が大雪で立ち往生。電車に閉じこめられ、15時間“密室”となった車内で、熱い恋が動き出す……! センター試験を2日後に控えた高校生たちが乗った大混雑の電車内で、地元の友人、静時と再会した博人は、彼が博人の思いを寄せる幼馴染・千春からメッセージを受け取るのを見てしまい――? 実際の事件を基に、ラストのどんでん返しまで鮮やかに描き切る、著者待望の恋愛ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
186
綾崎 隼、初読です。いきなり中表紙に新潟県の地図が掲載されていて何かと思ったら、舞台は新潟県三条市、著者は新潟県出身で、納得感と親近感が湧きました。恋愛ミステリというよりも、青春恋愛譚 、武者小路実篤の『友情』オマージュ小説でした。最期のメッセージのやり取りは圧巻ですが、今時の高校生がこんなにピュアな純愛をするものでしょうか❓ https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008472.html2024/10/23
モルク
102
新潟県のJR信越線で大雪のため電車が立ち往生し停車、乗客が15時間以上も列車の中に閉じ込められたという実際にあったことに基づいた高校生の恋愛話。センター試験を2日後に控えた中、受験生である幼馴染みの3人の高校生の愛と友情。この女子高生千春が個性的でもありその愛を求める姿はなかなか強烈。愛することにぶれず、運命永遠の愛を求め信じて強引にグイグイいく。その分、読んでいる私はひいてしまった。男子ふたりの相手を思いやる優しさには感動した。でもこれはミステリーではないよね。2025/01/21
ゆみねこ
72
2018年1月11日、記録的な大雪に見舞われた新潟県三条市でJR信越線が立往生した。閉じ込められた列車の中にはセンター試験を2日後に控えた3人の受験生が。これは恋物語ですね😅帯織駅が最寄りの3人という設定にしないと成り立たない物語なので仕方ないかなと思ったのですが、帯織は旧栄町で農村地帯。3人の家業があの地で三代続いて云々という辺りでリアルな舞台を知るものとしては内容に没頭出来ず…。千春の愛情は強すぎて怖くも。若い方が読むとまた違った感想になるかな?2025/02/20
えんちゃん
67
電車は動かないけれど、恋心は加速する。センター試験を間近にひかえた1月の夜。新潟の信越本線で、大雪の為に足止めを余儀なくされた電車の中。いわば『雪の密室』の中で繰り広げられる、3人の幼なじみ高校生の友情と恋愛の群像劇。どう着地するのか。こちらは歯ぎしりギシギシですよ。若者だもん、愛なんて言葉を躊躇わずに言えちゃうんだよね。自分のセンターも大雪だった。雪国あるある。ま、とりあえずみんな受験頑張って!2024/11/28
えみ
57
全く甘くない恋に囚われて、身動きできない3人の高校生の複雑な恋模様。三宅千春、石神博人、櫻井静時。綺麗なお手本のような三角関係が豪雪で止まってしまった電車の中で静かに崩れていく。この小説はとにかくヒロイン千春が何よりも恐ろしい。物事の受け止め方や考え方が人とは違う。常識から外れているどころのレベルじゃない。サイコパス、なの?と問いたいくらい。幼馴染を好きになる甘酸っぱさはなく、青春の爽やかさもない。そこにあるのは真っ直ぐすぎて持て余し気味の愛という罪。優しさの塊、石神博人に幸せになってほしいと心から願う。2024/10/29