コモングッド―暴走する資本主義社会で倫理を語る

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コモングッド―暴走する資本主義社会で倫理を語る

  • ISBN:9784492444856

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内容説明

著者のライシュがこれまで展開してきた「新しい資本主義」(政府か市場かの二者択一ではなく、市場メカニズムの根幹となる市場のルールそのものを見直してサテナブルな資本主義を構築する)から一歩進んで、「よき市民社会をつくるためには、何が必要か」に焦点を当てた本。
50年ほど前から、富と権力をもつ一握りの人々が、さらに多くの富と権力を手中に得ようと、社会に広がる「信頼」を搾取し始め、かつてはコモングッドと定義され、履行されてきた暗黙のルールが浸食されることになった。「私はどんな手段を使ってでも可能な限りの富と権力を手中に集める。慎み深く責任を持つなんていうのは負け犬がすることだ」と。
本書は、同じ社会を生きる一員として、人々はそもそもお互いにどんな義務を負っているのかについて再考し、どんな「理想」を共有すべきかについて考える。今よりもはるかに機能する社会、よい社会を取り戻したいのであれば、今は失われてしまった人々の間にあった共通の善、つまりコモングッド(良識)を取り戻さなければならない。
本書はアメリカ社会の話をしているが、アメリカに限定した話ではない。互いにつながっているという感覚を失い、お互いの共通認識としての「理想」をも失っている現代のすべての市民社会において、共通して考えなければならない問題である。そしてコモングッドを取り戻すため、市民として互いに負う義務を学ぶ市民教育を徹底できるか、と著者は訴える。われわれのよりよい社会の将来は、自分の実入りをよくするための「私的投資」としての教育に終わらず、よりよい市民社会を支える公的投資、「みんなのための市民教育」ができるか、にかかっているのである。

目次

第1部 「コモングッド」とは何か
第1章 シュクレリ
第2章 私たちはどんなコモングッドを共有しているのか
第3章 「コモングッド」の起源
第2部 「コモングッド」に何が起こったか
第4章 搾取
第5章 三つの構造的崩壊
第6章 「コモングッド」の衰退
第3部 コモングッドは取り戻せるか
第7章 受託者精神というリーダーシップ
第8章 名誉と恥
第9章 真実の復活
第10章 みんなのための市民教育

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

34
コモングッド(CG):社会の一員として連帯する市民が、互いにどんな義務を負っているかを示す共通価値。自発的に従おうとする規範、成就を願う理想(13頁)。教育:国家を賢明に統治する能力を育成する公共の善、機会の平等を促進する。民主主義:真実を認識する力を備えた市民、比較分析できる市民、将来の在り方を丁寧に議論できる市民がいて成立する(32頁)。1869年ハーバード大学長エリオットは、国家の治安問題を解決する最善法は、奉仕、受託、協力に向かって、個人を教育することと考えていた(195頁)。2024/12/28

takao

3
ふむ2024/12/19

kan_tkoc

2
ここ最近、極めて素朴な道徳・倫理の重要性を復権するしか道は無いのではないかという気になってきた。ゴミ拾いをしましょう、道行く人に挨拶をしましょう、困っている人には親切にしましょう。しかないのでは。2025/02/09

遊動する旧石器人

1
2024年10月29日発行。現代社会において、明らかに失われているコモングッド。利己的な目的の為に手段は選ばない思想が蔓延する社会において、利他・道徳・倫理・善等が強く発言されるのが多くなった。そこまで、近代の人間は荒廃したのだと強く感じる。私利私欲に塗れた人間が蔓延る時代を生きると、聖書の記述も妥当性を帯びる。いずれ裁きの雷が落ちて、神の時代が来るのだろう。人類社会が形成してきたコモングッドの理念を瞬く間に壊していく21世紀。お米の買い占めが稲作社会史でどんな意味を持つのか、十二分に考える必要がある。2025/02/28

りうかん

0
著者が経済学者だと最後に気づいた私。コモングッドの考え方は、先日読んだ資本論の入門書に書かれていた考え方と通じるものがあり、現代の経済学者とマルクスの資本論の入門書にそう感じたのは不思議。 皆が自分の得になる事だけを優先して何かをしていたら、当然 相手にとって不都合だが自分にとっては都合のいいことは隠すだろう。それをアンフェアだと全く思えなくなったら。。。トランプ氏の功罪についても触れているがその視点も面白い。2025/04/27

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