内容説明
ハートフルな捜査で美味しく事件解決!
昭嶋署の生活安全課に勤務する森山尚美は、おせっかい焼き。
街中で道を踏みはずしそうな人を掴まえては、強引に〈喫茶ひまわり〉に連れて行く。
そんな先輩に振り回される相棒の久住達樹は、「警察の出番は事件が起きてから」と、いつもグチってばかり。
しかし尚美は、おせっかいをやめようとはしない。
苦い過去が、犯罪を未然に防げと、ささやくから。
とはいえ、普段は気が優しくても、悲しみや辛さに追い込まれて、心に悪魔が入り込んでしまっている人を正気に返らせるのは、簡単じゃない。
でも、この〈喫茶ひまわり〉には、素敵な魔法――そう、頬が落ちるほどの料理がある!
マスターの作る美味しい料理は、なぜだか懐かしい味がして、食べた人の凍った心をとかすのだ。
そして、お腹いっぱいになると、誰もがみんな、不思議と悩みを告白してしまう。
あとは尚美のおせっかいにスイッチが入れば、事件(?)は無事に解決。
なぜなら、〈喫茶ひまわり〉は、闇に堕ちかかっている人にとって、奇跡の場所だから。
尚美や達樹、そして只者ではないマスターたちが、事件になる前に事件を解決する、ハートウォーミングな物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
85
時代小説『名残の飯』シリーズですっかりファンになった作者さんの現代ミステリー連作集です。女性警察官「尚美」とツンデレな後輩の相棒「達樹」が関わる意外とシリアスで、ちょっとほっこりな事件の数々が綴られています。そもそもなぜ「尚美」が警察官になったのか。彼女を影ながらフォローする喫茶店『ひまわり』のマスターは果たして何者なのか。中でも指定難病に冒された女性と父親の話は涙なしには読めず、短編ながら何度も涙腺がゆるんでしまいました。「尚美」と「達樹」の二人の掛け合いも絶妙で、この先も引き続き読んでみたい作品です。2024/11/09
真理そら
44
尚美と達樹のバディもの、だけれど、どこにつながるのか分からない尚美の話にツッコミを入れながら引きずられる達樹の組み合わせは楽しい。犯罪を未然に防ぐという方針の尚美に犯罪が起きてからが警察の出番だと考える達樹が振り回されているのがいい。喫茶ひまわりでのメニューもおいしそう。シリーズ化してほしいけれど尚美の抱える問題が解決してしまったから無理かも。2025/03/09
Karl Heintz Schneider
39
森山尚美は一見秘書室にいそうな32歳の女性。でも実は昭嶋署生活安全課に努める警察官。犯罪を犯しそうな人をピックアップして尾行し「その」直前で声をかけ犯罪を未然に防止する。その後喫茶ひまわりに連れてゆき温かい料理でその人の心を解きほぐす。いざ事件が起こってからでないと動かないのが警察。そのせいでストーカー殺人などの悲劇を生んできた。防犯係のような活動があればどんなにいいだろう。そのことは以前からずっと思っていた。2025/04/07
のんちゃん
27
昭嶋署生活安全課の森山尚美は、事件を起こしそうな気配を匂わせている人に近づき話を聞いて止めさせる。その時、彼女は喫茶ひまわりという店にその人を連れてゆき、マスターに懐かしい料理をふるまってもらう。そんな彼女自身にも辛い過去があった。マスターの料理や同僚男性との掛け合い等ほのぼのした場面もあるミステリだが、世の中、図々しく悪い奴がいるものだと読んでいて腹立たしくなる話もある。第一話に出てくるカレーうどんが美味しそうで、読後、作って食べた。マスターの素性は読んだ時のお楽しみ。小学館文庫、おいしい小説の1作品。2025/04/27
ベローチェのひととき
22
妻から廻ってきた本。4編からなる連作短編集。主人公は昭嶋署生活安全課に勤務する森山尚美。今にも過ちを起こしそうな人に声を掛けては犯罪を未然に防いでいく。その説得の場となっているのが喫茶ひまわり。喫茶ひまわりで出される懐かしい食べ物と尚美のよくわからない?昔話のたとえが物語に色を添える。相棒の久住との掛け合いもあり、読みやすくなっている。2025/05/08
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