内容説明
2010年、歌人河野裕子が乳がんのため亡くなった。夫で歌人の永田和宏は妻亡き後、二人の間で交わされた手紙300通と日記を発見する。そこにはもう一人の青年と永田との間で揺れ動く葛藤が綴られていた。〈ふたりの人を 愛していると そのために こんなに つらいと〉。熱く性急で相手に誠実であろうとした故に傷つけあった二人の時間。不器用な男性と一途に人を愛した女性の愛と青春の記録。(解説・梯久美子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
冬見
10
歌人河野裕子と永田和宏の青春の記録。出会ってから結婚するまでに残した日記と手紙をベースに二人の記憶を辿る。「たとへば君 ガサッと落葉すくふやうにわたしを攫つて行つては呉れぬか」の歌がどのような背景で作られたかが明かされたところではっと胸を掴まれた。ここまで赤裸々に書いてしまうのか、と居心地の悪さすら感じる場面もあったが、それ以上に永田和宏の河野裕子への深い愛を感じられて胸が詰まった。2025/03/25
ぺん
5
NHKの「猫も杓子も」の永田和宏の回でところどころ出てくる短歌がよかったのと、学問と短歌それぞれを極めているところに興味を持つ。歌集を図書館で探したけどなくて代わりに借りた。子供時代から結婚するまでの顛末を歌を交えてつづられる。家族、恋人、友人、学問との関係が交錯しながら進む。それぞれのパートがテンポもよく、面白い。やっぱり短歌もいい。だけど、特に恋愛方面があまりにも赤裸々過ぎて、私はいいけど息子さん娘さんはこれを読んでどう思うのかなとかなり野暮なことを考えてしまうのだった。2026/04/19
ゴロチビ
2
著者の本は「知の体力」以来、河野裕子の本は息子による評伝以来。この本ってプライベートな夫婦愛の記録かと思っていた。読み終えた印象を羅列してみると、団塊世代の一典型、プラトニックな二股、芸術家同士の純愛の軌跡、河野裕子という才能への敬意…自分は著者より歳下だが、つくづく団塊世代って社会への影響力の大きな世代だったなぁと思う。著者達の青春はある意味その典型のようにも見えた。著者も今や短歌界の重鎮なのだろうけど、河野裕子の凄さは素人の自分さえもわかる。そんな才能ある女性の記録を遺したいという著者の意思を感じた。2026/01/16
hr
2
ドラマ化されてから気になっていた。妻の日記や相互の手紙、著書の文章をどんどん引用しながら進んでいく。初めこそ「そこまで書くか」と否定的な気持ちになったが、途中からは亡くなった妻の生きた手触りを追い求める思いに、寄り添う気持ちになってきた。著者は別の著書を書いた過程を「自分を治していたのだろう」と説明する。亡くなった妻に今の自分を開いてもらうためには、日記等の引用が欠かせないのだし、そのことを受けとめてくれない妻の筈がない自信もあるのだろう。短歌は限られた字数だが、その深奥には膨大な言葉が溢れ続けていた。2025/01/05
バーニング
2
単行本で一度読んだが文庫を機に読み直し。美しい思い出も悲しい思い出もたくさんある二人の記憶を整理して閉じこめるような、とてもあたたかくて優しい本だと思う。2024/11/28
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