内容説明
2010年、歌人河野裕子が乳がんのため亡くなった。夫で歌人の永田和宏は妻亡き後、二人の間で交わされた手紙300通と日記を発見する。そこにはもう一人の青年と永田との間で揺れ動く葛藤が綴られていた。〈ふたりの人を 愛していると そのために こんなに つらいと〉。熱く性急で相手に誠実であろうとした故に傷つけあった二人の時間。不器用な男性と一途に人を愛した女性の愛と青春の記録。(解説・梯久美子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takao
2
青春の思い出2024/11/14
hr
1
ドラマ化されてから気になっていた。妻の日記や相互の手紙、著書の文章をどんどん引用しながら進んでいく。初めこそ「そこまで書くか」と否定的な気持ちになったが、途中からは亡くなった妻の生きた手触りを追い求める思いに、寄り添う気持ちになってきた。著者は別の著書を書いた過程を「自分を治していたのだろう」と説明する。亡くなった妻に今の自分を開いてもらうためには、日記等の引用が欠かせないのだし、そのことを受けとめてくれない妻の筈がない自信もあるのだろう。短歌は限られた字数だが、その深奥には膨大な言葉が溢れ続けていた。2025/01/05
バーニング
1
単行本で一度読んだが文庫を機に読み直し。美しい思い出も悲しい思い出もたくさんある二人の記憶を整理して閉じこめるような、とてもあたたかくて優しい本だと思う。2024/11/28
あん肝ポン子
0
壮絶な青春の記録。恋をして相手と向き合い続けることの喜びと痛みが2人とも壮絶すぎる。その壮絶さを誠実に書き残せる人たちだから素晴らしい短歌が生み出せたのだろう。2025/01/25
ナオ
0
赤裸々だけど、素敵な人生。52024/12/31