内容説明
母の納骨を終えた作田まひろ(22)は、「別れ」を受け入れるため、幼い日に母と一度だけ訪れた寿司店にやってきた。海辺の町の鄙びた商店街の「江戸前夕凪寿司」という小さなお店。意を決して暖簾をくぐるも、ランチ営業はちょうど終わったところだった。がっかりしたまひろだったが「ちょっと、お客さぁん」と若い女性の綿飴みたいな声に呼び止められ、まかないの海鮮丼をいただくことに。「さやかさん」と呼ばれる声の主は、ふんわりした見た目とは裏腹に、丁寧な「仕事」をする凄腕の寿司職人で――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
167
強い海風が透明な塊になって、どんっとぶつかってきた。自分がどちらを向くかで凍える様な逆風も追い風に変える事が出来るかもしれない。そんな森沢氏らしい寿司屋を舞台とした作品であった。正直特に大きな動きや派手な動きがある訳ではない作品だったのであるが、そういう心の機微やその描写を読んで行きながら自分も元気付けられるという作品かな。それでいいんだ、皆一緒の向きあるんだ、という。後、描かれている寿司が如何にも美味しそうでした。2024/12/12
はにこ
153
とても寿司屋の常連にはなれないけど、こんなお店があったら良いな。海辺の街でひっそりと商うお寿司屋さん。親からのDVにトラウマを持つ女性や、妻に浮気されて別れた社長が集う。そんなお客さんにめちゃ美味しそうな創作寿司を出す女大将。先代も良い感じだし、未來はちょっとクセ強だけど、悪いこじゃない。彼女の過去も辛いものだったけど、さやか達の優しさにホロりとした。2024/11/06
しんたろー
132
久しぶりに読んだ森沢さん....う~ん、何故か以前のように泣けなかった。大好きな寿司が題材になっているので過分に期待したのかも知れない。登場人物は著者らしい素敵な人達だし、優しいタッチの文章も相変わらずなのに響いてこないのは、物語に深みを感じなかったのは今が読むタイミングではなっかたということか⁈それでも、年齢が近い金光社長の話には大いに共感できたし、ホッコリする「森沢ワールド」は堪能できた。殆どの作品を読んでいるファンゆえに辛口な感想になったが、最新作の『桜が散っても』は必ず読みたいし今後も期待したい♬2024/12/19
おしゃべりメガネ
115
期待通りの森沢さんワールド全開な作品でした。寿司屋さんを舞台に繰り広げられる涙腺ホロリの人情ドラマです。寿司屋の大将はなんと女性で、しかもなかなかふんわりとした雰囲気の「さやか」。その寿司屋で看板娘として働くツンデレの「未来」。おっとりした雰囲気でアロハシャツを纏っている謎の老人「伊助」。そんな彼女たちに出会うコトになる失意の女性「まひろ」ととにかく相変わらずキャラがしっかりと確立していて、安心して読み進めていけます。しかし、50手前のおっさんの自分には、ちょっとキラキラし過ぎな感じが否めず残念でした。2024/10/30
ウッディ
114
母の納骨を終え、一人で生きていくための儀式として、幼い頃に母と行った海辺の寿司屋を訪れたまひろは、ふわふわで寿司オタクのさやかさん、ツンデレの美來ちゃん、レジェンド職人の伊助さんと出会う。DVを受けた辛い記憶、女性寿司職人への偏見などを乗り越えて、自分の居場所を見つける物語。知ったかぶりの嫌な客をギャフンと言わせたり、音信不通の娘との再開など、スカッとしたり、ジーンとしたりはするけれど、薄味感は拭えず、田舎町にこんなすごい寿司屋があるのも違和感を持った。それにしてもハンバーグの石はどこにいったのだろう?2024/12/24
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