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内容説明
商品や企業の歴史や伝統から、
オリジナルで強いブランドを作る!
日本各地の銘菓や地酒、名産など、特色ある商品やその作り手を魅力的に輝かせる「ルーツ・ブランディング」とは?
バラエティ豊かな7つの実例を通じて、ブランド構築からプロモーション展開まで、分かりやすくまとめた一冊。
地元で愛され続ける銘菓、その土地特有の酒、何世代にもわたり親しまれてきた名産品――これらの商品には、企業が長年培ってきた品質へのこだわりと努力だけでなく、時の流れによって醸成された伝統という価値が本来備わっています。しかし、毎年多くの新商品が市場に登場するなか、かつての看板商品が競争力を失い、売上が低迷している企業も少なくありません。
本書の著者は、全国各地700社以上の菓子、酒、食品メーカーに対して、パッケージデザインや販売促進施策実施を通してブランディング支援を行っている数少ない会社です。歴史や伝統のある会社や商品に対して、自分たちの「ルーツ」に着目したブランドづくり、そのブランドコンセプトに基づいた一貫したプロモーション提案をしています。
ルーツとは「根元」、つまり、その商品の生い立ちや企業の成り立ちを改めて見直し、ルーツを中心としたブランド戦略を構築し、展開していくことで、唯一無二の、力強い訴求力を生み出していきます。このルーツに注目したブランディング手法を体系化したのが本書で解説する「ルーツ・ブランディング」です。
「ルーツ・ブランディング」では、企業の根幹にある理念や歴史、地域性を軸に、商品を時代やニーズに合わせてブランディングしていきます。その商品や企業の背景にある物語(ストーリー)を伝えることで、顧客に高い付加価値を提供します。
本書では、7つの具体的な事例を通じて、この「ルーツ・ブランディング」の実践的なノウハウを詳しく解説します。地域と企業の未来を紡ぐための力強いツールとして、ブランディングやマーケティング担当者はもちろん、経営者にも新たなブランド戦略を知るきっかけとなる一冊です。
目次
はじめに
第1章 地域の特色と企業の強みを引き出し、商品価値を「深化」させる
ルーツ・ブランディングとは
物語のある商品に消費者は関心を持っている
ブランディングの本来の価値
商品価値を「深化」させるルーツ・ブランディングとは
「調べる」「磨く」「魅せる」の3つのステップ
企業・事業・商品の3つのブランディングがある
私たちが考える「ブランディング」とは
ルーツ・ブランディングが未来を切り拓く
第2章 銘菓・地酒・名産品
地域の特色を新たなカタチで打ち出しブランド力を高めた
7企業のサクセスストーリー
事例1 後継者も知らなかった先代の記憶を紐解き 長い歴史をもつ菓子の価値を再構築した伊勢の名物餅屋
◆有限会社 二軒茶屋餅角屋本店
長い歴史を未来へつなげるために何を価値にしていけばよいのか
資料を調べ上げ、先代とも直接話し、「歴史」の深掘りを重点的に実施
かつては「舟参宮」が盛んで商人が闊歩した自治都市、知られざる伊勢の歴史があった
生餅を通して、ここにしかない土地の記憶、風土の物語を体感・体験する
「ここでしか食べられない家伝の生餅」という唯一無二の価値を訴求
錦絵作家のイラストを活用したコーポレートサイトで歴史の物語を効果的に伝える
若い層を中心に来店客数が増加し、スタッフの意識もポジティブに
歴史はブランディングにおいて重要な無形資産
事例2 風土×アートの洗練されたデザインで、高級日本酒をニューヨークに売り込む
◆菊の里酒造 株式会社
海外に向けても有効なのがルーツ・ブランディング
業績回復や海外進出を成し遂げ、渾身の高級日本酒でさらに未来を切り拓く
現地をよく知るマーケターにアメリカの市場調査を依頼
ブランドコンセプトとアート性を融合させたラベルやパッケージ
高評価を得た海外に迎合しないデザイン
解説文などは英語版ならではの注意点に留意
国境を越えて愛される商品を目指す
事例3 原点回帰で見いだした強みを新ブランドの軸にし、企業のDNAを未来につなげる
◆株式会社 如水庵
お客様が求めるものはオンリーワンの物語
ピンチのときこそ「原点」に返り、自社のルーツを見つめ直す
自社の強みを最大限活かした、新しいブランドづくり
「究極の大福」と博多のルーツをつなげるシンボル
愛されるブランドづくりのための「人格化」
あらゆる形で、ブランドの世界観を伝える
「おふく大福」のブランドづくりから学んだこと
事例4 「挑戦の歴史」から見つけた複数存在するルーツを最適化、商品を体系化して販売力を向上
◆木戸泉酒造 株式会社
商品開発の歴史は老舗企業の強みになる
明確な特徴がある一方で、解決すべき課題があった
信念が軸であることを歴史から再確認
蔵の評価を把握し、新しいラベルの作成に着手
時間をかけたディスカッションもブランディングの大事なポイント
事例5 BtoBの食品卸で築いた強みをBtoCの通販事業の価値につなげ魅力的なおせちブランドをつくる
◆株式会社 オージーフーズ
新たな事業に舵を切る際もブランディングは不可欠
創業以来培ってきた強みを凝縮した「おせち」の価値
コンセプトを磨き、お客様を魅了する「おせちや」の世界観を創造する
人の縁を結び、「おせちや」の価値創造につながっていく
企業の変わらない「本質」を見いだすためのルーツ・ブランディング
事例6 ルーツ・ブランディングで幼い頃から見てきた原風景の海を表現する新しい酒づくりに挑む
◆福田酒造 株式会社
地域の風土性をブランドの強みに変えるために
風土と酒づくりの結び付きを体当たりで調査することで見いだされたコンセプト
多様なステークホルダーにとって価値の高いコーポレートサイトをつくるために
「自分の酒とは何か」を考え抜いた新しい日本酒
事例7 明確なビジョンを持つ企業×「魅せる」のプロ
これもルーツ・ブランディングの成功の形
◆株式会社 菓匠庵白穂
地域に根差した「まちの和菓子屋さん」の価値をアップデートし、未来へつなげる
先代の後を継ぎ19歳で2代目に就任、製菓技術が向上したのに売上が下がったわけ
同じ商品でも所変わればお客様の感性も変わる それに合わせて価値を伝えるデザインも変わる
単なる商品パンフレットではなく、社長の思いを伝えてファンを増やすリーフレットへ
経営者の思いを形にして、地域との絆を深めるルーツ・ブランディング
第3章 唯一無二の価値を生み出すブランディングが、ベストセラーではなくロングセラーを生む
ブランディングの本質は共感を得ること
日本の地域食がムーブメントになる時代
「地域」そのものをブランド力に
第三者視点から課題を理解すること
食の分野は中小メーカーにも大きなチャンスがある
「調べる」「磨く」「魅せる」で補足しておきたいポイント
ロングセラーに必要なブレない軸をクライアントとともにつくる
おわりに