精神の生活

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精神の生活

  • ISBN:9784863855878

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内容説明

この痛みを何と呼んだらいいのか? 「流産」というテーマを克明かつ赤裸々に描いた傑作小説。

このままならない身体とのつきあい方を、誰も教えてくれない。トイレの個室で不安をひとり抱きしめているひとがいる。そこで何が起こっているか、あなたは本当に知っているだろうか。────────永井玲衣(哲学研究者/『水中の哲学者たち』)


この痛みを何と呼んだらいいのか? 「流産」というテーマを克明かつ赤裸々に描いた傑作小説。

不安定な地位にある大学非常勤講師のドロシーは、図書館のトイレで出血を確認する。流産したことを親友にも母親にも打ち明けることはできない。大学で講義し、セラピーに通い、産婦人科を訪れるが、どこにいても何をしていても世界から認めてもらえない気がしてしまう。3月の終わりからの1ヶ月半、予測不能なキャリアのなかで、自分の身体に起きた「流産」という不可解な出来事と知性によってなんとか折り合いをつけていく。

「TIME」年間トップテン・フィクション(2021年)選出!

【著者】
クリスティン・スモールウッド
2014年にコロンビア大学で英文学の博士号を取得し、これまで5本の短編小説をThe Paris Review、n+1、Vice などの文芸誌で発表している。また数多くの書評やエッセイをThe New Yorker、Bookforum、The New York Times Magazine、Harper’s Magazine 等に寄稿する批評家でもある。現在、ブルックリンに夫と二人の息子と住んでいる。

佐藤直子
東京都内の大学で非常勤講師として英語を教えている。現代アメリカ小説における「偶然性」のテーマに関心がある。

目次

三月の終わり
その翌日
五日後
数週間後
翌週の土曜の夜
十日後

日本の読者への手紙
訳者解説

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

48
流産によって変化した身体内にある精神世界、というよりも生々しい肉体を覆うように現実があって、更にその周辺を強固な思索が包み込むかのように描いている。茫洋としていながらも精妙にして知性的、そしてどこか傍観しているような語りの海に揺蕩う。性別も境遇も体験も、私には全てが遠いものであるにも拘わらず、読み終えた頃には小説自体が友人であるかのような親密な感覚を味わえた。訳者の言葉通り、精神と身体の関係を巡る普遍的な問題を扱っているからだろうか。時間が許すならば何度も読み返したい。非常に得難い読書だった。2023/08/17

まこ

8
流産して血が出るのを汚いと感じ、周囲にすら言えない。ドロシーは仕事も子どもの事も中途半端で、上手くいっているからこその話を語る周囲と違う、だから言いづらい。自分の意思で子どもをおろしたギャビーを神聖化し、選ぶことの理想とした。流産がわかってからの数ヶ月、打ち明けられないけど明日に伸ばすことを知った。2023/09/03

no6

2
流産後だらだらと出血を続ける主人公。親友も同じように薬を服用するがそれは第二子の堕胎のため。非常勤の不安定な身分のまま学会に出席するが、そこで成功した友人や(元彼や)元恩師と時間を過ごすことになる。このように内面も環境も不安定だけれども、成功もしてないけど破綻もしてない状況は身近に感じられ、分析し言語化するさまにはなるほどと思わされる。装丁=成原亜美(成原デザイン事務所)、装画=塩川いづみ2023/10/05

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