内容説明
論文を書くとき、気をつけなければならないことはなにか。論文は、どんな基準で評価されるのか。本書は論文の書きかたについて、社会学を中心に、研究プロセスにおける作法にそって解説する。著者自身の体験を手がかりとしながら、問題設定や社会調査、資料批判、図表の論理、注の役割、研究倫理など、論文作成において外せないポイントを掘り下げていく。論とはなにか、文とはなにか、そして書くとはなにか。「論文を書く」という現象それ自体の社会学的な考察であるとともに、新たな認識を自分で生み出すためのレッスンでもある。
目次
第1章 論文とはなにか:辞書に書いていない意味を考える/『文章読本』と『論文の書き方』/国語の辞書が開いてくれる手がかり/国語辞典の説明の限界/「論文」を支える3つの形式・条件/第2章 「論」と「文」の結合:論文の形式/論文の宛先:手紙や日記との違い/筋道立てて述べる:正しいと思うことを言う/「あげつらう」の変容:正しいと思うことを挙げつづける/〈声〉の状況依存を超越する〈文〉/「謎かけ」と「謎解き」/第3章 〈文〉で論ずることの厚み:読む対象/知る方法 /読む対象としての「文」/記す手段としての「文」:対象を立ち上げる/主体もまた織り込まれている/意味のありか:経験としての「文」/主体をも生成させる:知ることの創造/知る方法としての「文」/学問としての「文」の世界:印刷革命の公共性/インターネット情報の不安定な集積/第4章 主題・問題意識・問題設定:問いを立てる(その1)/問いを立てる/対象としての素材もしくは領域:主題としての「問い」/問う主体の関心のありか:問題意識としての「問い」/「謎」を立ち上げる:問題設定としての「問い」/「わからなさ」を構築する論理的説明へのこだわり/古典のなかの複数の「問い」/方法的な「問い」と実践的な「問い」/「謎」としての社会的自殺率/第5章 通念の切断と思考の運動:問いを立てる(その2)/存在論的な「問い」の落とし穴/観察の窓をひらく場所:社会学の「問い」の特質/記述的な「問い」の落とし穴/アルチュセールの補助線:「認識論的切断」という課題/「世界を止める」:『気流の鳴る音』のおしえ/問われない前提:くりかえされる説明をカッコに入れる/原材料/生産手段/生産物 /漢語概念のむずかしさの切断/第6章 観察と対話の組織化:方法としての社会調査(その1)/社会の認識を生みだす/ニュース、ドキュメンタリー作品、口述調書/問題設定に依存する/認識生産の過程としてとらえることの意義/質問紙の組織力:1つの技術革新/調査票のもつ3つの機能:リスト/カード/マニュアル /質問紙によるデータ収集の弱点/工場生産のラインプロセスと手工業的な熟練/第7章 調査研究のさまざまな局面:方法としての社会調査(その2)/対象設定の局面と「全体/単位」/全体が最初からは見えていないケース:全体の想像とその複数性/代表性概念の肥大/データの処理と分析/データで実証するということ:実証という理念の厚み/理論のつくりなおし/媒体としてのコンピュータ/社会認識の生産プロセス再び/第8章 2項対立のあしらいかた:疑似問題の流動化/量的と質的:対立概念と考えてはならないもの/「量的/質的」の研究法分類の歴史性/2つに閉じる思考のメカニズムを3つで動かす/変動の図式化にかくれた2項対立/大衆運動の説明の図式演繹性/○○化論をのりこえる:社会変動論から歴史社会学へ/第9章 リレーショナル・データベースとしての社会/資料とデータの違い/資料の社会的存在形態/役場や警察の実用知識:記録の制度的存在形態/組織文書/メディア文書/個人文書 /フィールドとしての個人:個人/集団の対立をこえて /リレーショナル・データベースとしての社会/第10章 「クダンの誕生」の経験をふりかえる:論文を書く/きっかけとなる学会発表/柳田国男の昔話/世間話 /先行研究における「説明の失敗」/「謎」としての「クダン」/「クダンの話」としての資料の収集と整理/分析における要因の析出と新たな全体の現出/新たな解釈図式の提出:文字の図像化と書字の知識/証文の予言:未来を約束すること/声のなかの常識:「くだんのごとし」という謎/ゲームとしての流言:さまざまな動機が関与する場として/クダンの誕生:「起源」の説明/対象が動きだすとき:問題設定の光と素材の鑑定/第11章 リテラシーの発見:パソコンで書くこと(その1)/新聞を読まない子どもたち/日常のなかのリテラシー:メディア経験の多層性/リテラシーの危機:読み書き経験の衰弱/読み書き能力の離陸/読書空間の近代/ワードプロセッサーとの出会い/第12章 読書空間のなかで書く:パソコンで書くこと(その2)/テクスト変形の能力/出発点の更新:直した痕跡の切断/書きなおす主体と読みなおす主体の融合/印字による個性の切断あるいは自己の対象化/論理という骨格の発見/二次的な声の文化の混入/論ずるという空間の構築/第13章 コピペと引用の使いこなし:他者の「文」で考える/「ぐぐってコピペ」/「ぐぐる」の便利は審査者にも開かれている/教養の土壌づくり/「切り貼り」の構築作業/「丸写し」が身体に刻む教養/ニセモノづくりの構想力/文意をずらした引用のあやうさ/「知のベタ貼り」で荒廃する空間/資料批判という日常感覚/他者の尊重と他者との闘争/第14章 見えかたをデザインする:表と図が生みだす思考空間/地図の視覚:位置や関係をあらわす工夫/動きの地図と思考の地図:行動を考える/考えをまとめる /ならべ変えることの意義:アピアランスを変える/図と表の視覚の論理:線の表象/位置の意味 /プレゼンテーションソフトの便利/写真の説明と読みくだし/第15章 研究倫理の問題:他者を尊重し自らに誠実に/社会学における望ましい研究/論文作成における倫理/調査研究における倫理/他者の尊重と研究の自由の公共性/第16章 編集者として見なおす:書きなおす読者として/キーワードと概念間の関係の自覚化/文としての記述の自立:『小説神髄』のおしえ/目次の役割:設計図・地図としての目次/わかりやすさの理想/あとがき/ちくま学芸文庫版あとがき/文献一覧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
1.3manen
Go Extreme
よっちん
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