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内容説明
世界の美しさと,人間の苦しみと――双方に忠実であろうとしつつ,生きる意味を探求し続けた作家,カミュ.『異邦人』『ペスト』をはじめとする作品は,時をこえて私たち自身の生をも映し出している.アルジェリアでの出生から不慮の死まで,生涯に沿ってテクストをよみとく.「不条理」の先に作家は何を見ていたのか?
目次
はじめに
第一章 アルジェリアの青春──「節度なく愛する権利」
1 貧民街の少年
2 習作から最初の出版へ
3 地中海の霊感
第二章 不条理の時代──「世界の優しい無関心」
1 『異邦人』──戦時下パリ文壇への登場
2 パリの劇作家
第三章 反抗の時代──「われ反抗す、ゆえにわれらあり」
1 レジスタンスから解放へ
2 『ペスト』──長い労苦の果ての成功作
3 反抗と正義の戯曲
4 冷戦時代の論争
第四章 再生へ向けて──「孤独と読むか、連帯と読むか」
1 失意の時代とアルジェリア戦争
2 『転落』──周囲を驚かせた傑作
3 ノーベル文学賞
第五章 愛の時代──「私の夢見る作品」
1 不慮の死と遺作
2 『最初の人間』──未完の自伝的小説
コラム カミュと日本
おわりに
カミュ略年譜
主要参考文献
図版出典一覧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
125
カミュの生涯を形成した出来事が、文学として結実したのかを辿る。眩しく明るい世界での貧困という不条理が『異邦人』のムルソーとなり、自らが不条理になるとの思いが『カリギュラ』へ繋がり、連帯して不条理に反抗する希望から『ペスト』が生まれたと見る。しかし不条理であっても政治的に正しければ良しとされる東西冷戦と植民地解放戦争の時代には、味方でなければ敵というむき出しの政治闘争に疲れた心が『転落』に反映される。愛すべき生をこそ追求した作家の意思が、「新しい戦前」とまで言われる今日に立ち止まって振り返る道を示している。2024/11/17
特盛
34
評価3.6/5。カミュの人生と作品の関係が詳しく語れる。作品群のテーマとしての不条理、抵抗、(そして未完に終わる)愛。不条理の中心には絶対価値が無い時代に死すべき運命がある。抵抗は生命の運動である。(かなりニーチェ的印象を受けた。)描かれるカミュの素顔、ヒューマニストであり信念ある生き方は実に魅力的だ。愛を描き切る前に、46歳で不慮の事故に彼は亡くなったが、これは今の私と同じ年であることもぐっとくる。異邦人はまた一回読み返したいな。ムルソーに現代のキリストを重ねているというカミュの意図を頭に置きながら。2024/11/27
やまはるか
24
カミユとサルトルは記憶の中でセットになっていて、創作はカミユ、評論はサルトルに親しんできたが、46歳で自動車事故死したカミユの事績は圧倒的に少ない。カミユは異例の若さでノーベル文学賞を受賞するが、サルトルは辞退する。「人はだれもが死ぬ、だから幸せではない」カミユが言うと意味を帯びる。「反抗が精神の中に移り、感情が思想となり、自発的な激情が合議による行動に変る時が来る。それが革命の時だ」ふむ。ナチスに協力した罪に問われた作家ロベール・ブラジャックの助命嘆願にカミユは署名するがドゴール政権により銃殺される。2025/02/13
しんすけ
23
トランプの大統領就任の報道が流れてくる度に、カミュが浮かんだ。 こうした独裁者の存在を黙認しているのは、大きな犯罪だとカミュはまず想い浮かべるだろう、と。 カミュが生きてきた時代は、ヒトラーとスターリンとという暴君が存在した。その批判の声が聴こえだしたの暴君の死後のことだった。 カミュがサルトルと仲違いした要因もここにあった。 曖昧な正義を語る者は、ぼくもカミュと同様に許すこはできない。 人間は信念に従うとき、「反抗的人間」になって当然だ。2025/01/27
K
13
カミュの生い立ちと作品の背景が多め。むしろ作品解説は少なめ。全体像としてのカミュを掴みやすい新書。不条理文学→反抗→愛(未完)という流れがある。もちろん不条理あってこその反抗であり愛や結託がある。ニヒルに陥ったままではダメだ。形而上学的逃げ(形而上学敵自殺とも)もダメだ。不条理と共に生きろ。これである。2024/12/09
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