その国の奥で

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その国の奥で

  • ISBN:9784309209074

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内容説明

20世紀初めの南アフリカ。人里離れた農場に暮らす孤独な娘と、若い黒人女を得た父の葛藤を激しく暴力的に描く傑作。植民地社会の矛盾とディスコミュニケーション。映画化。新訳決定版。

欲望、堕落、幻想を見極めようとする力作──オブザーバー紙
めくるめく緊迫感が最後までゆるまない筆致──デイリーテレグラフ紙

植民地支配の歴史を生きた者たちの、人種と性をめぐる抑圧と懊悩を、
ノーベル賞作家が鮮烈に描いた、濃密な、狂気の物語。
語りと思考のリズムを生かした新訳決定版!!!

「父さん、許して、そんなつもりじゃなかった、
愛してる、だからやったの」
20世紀初頭の南アフリカ。異人種間の結婚や性交が禁じられていた時代。白人と褐色の肌の人々が生きる隔絶された空間で事態は推移する。石と太陽で造られた屋敷の仄暗い廊下では、昼も夜も時計が時を刻む。孤独で不美人な未婚の娘マグダ、農場を支配する厳格な父、使用人ヘンドリックと美しく幼い花嫁、不在の兄。肩の上に一気に手斧が振りあげられ、ライフル銃の薬莢が足元で音を立てる。やがて屋敷の秩序は失われ、暴力と欲望が結びつく……。ノーベル賞作家が、検閲の網をかいくぐり、植民地社会の歴史と制度への批判をこめて織りあげた幻視的長篇。新訳決定版!!!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

fwhd8325

53
どこまで理解できているかはわからないのですが、鋭利な刃物のようでありながら、どこか牧歌的な世界観でした。物語は266に分かれていて、読みやすい。目当てはくぼたさんの翻訳なのだけど、翻訳とは思えないくらいストレートに響いてきます。迷宮にはまっていく感覚もありますが、無事にラストまでたどり着くことができました。面白いというよりすごいが正直な感想。2024/11/15

TATA

34
南アの辺境地区に住む家族。使用人を抱える裕福な家に生まれた女性の話。現実と空想が行ったり来たりして非常に読みにくい。扱っているものも暴力や前近代的な因習にまつわるものも多くずっと海の底で漂っているような読書。最後まで読み切っても明るさを感じる部分はなくただこれが南アの精神世界なのかもなという思いだけが残った。2025/12/11

かふ

21
大江健三郎と同世代の南アフリカのノーベル賞作家の意欲的な二作目は「フォークナーの息子たち」を意識したのか、一人称のアフリカーナの女性の語り手の幻想と現実世界を描く。女性の手記ということで266の断片は日記ノートのようで読みやすいが内面の思考がアパルトヘイトの問題をえぐっていく。そこに男尊女卑という社会構造自体がアパルトヘイトの根っこにあり、彼女は奴隷の主人ではあるが男に従属して生きなければならないという複雑な感情が錯綜する。それは父殺しの神話であり、南アフリカの挽歌であり、ポストコロニアル文学の萌芽だった2024/10/11

エオリアン

5
クッツェーのデビュー作「ダスクランズ」に続く2作目となる本作はクッツェー訳者でお馴染みのくぼたのぞみ氏による新訳。南アフリカの辺境の田舎で暮らす白人中年女性マグダよる独白調のゴシックノワールは266の断章で構成されており、読者をコラージュ的な技法で話の時系列や現実なのか想像なのかを曖昧にさせていて困惑させる。南アフリカの白人植民者の選民思想やアパルトヘイトへの皮肉が読み取れるが、暴力や生々しい描写は筆者の作風を知っていないと戸惑うと思う。ストーリーはあえて触れないが著者の初期衝動を感じられる実験的な良作。2024/08/04

sk

3
苛烈な妄想2026/03/23

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