内容説明
黒人たちはアメリカ社会の底辺にいるとされてきた。だが二〇世紀後半、徐々に社会的地位を高め、中産階級の仲間入りをする者も現れる。文化や芸能、スポーツなどの分野での活躍は目覚ましく、政財界に進出した例も少なくない。本書は、アメリカ独立以前から南北戦争、公民権運動を経て現代まで、差別に直面しながらも境遇改善の努力を積み重ねた彼らの歩みを辿る。二〇一〇年代に勃興したBLM運動を概観する新章を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
29
アメリカ独立以前から南北戦争、公民権運動を経て現代まで、差別にさらされながらも、境遇改善への努力を積み重ねてきたアメリカ黒人の歴史を辿る1冊。アメリカ大陸の奴隷需要と西アフリカの奴隷捕獲戦争、南部「綿花革命」の推進力と日常的犯行と反乱、南北戦争の勃発、人種隔離と参政権の剥奪、世界大戦期の様々な差別、冷戦期の公民権運動、レーガン保守革命、BLM運動が成立していった過程に至るまで、奴隷解放されたから問題が解決したわけでもなく、長い差別と運動の末に少しずつ前進してはいても問題の根深さを改めて痛感させられました。2024/10/08
Toska
20
2020年時点でアメリカの黒人は人口の12.6%にすぎず、白人(63.7%)どころかヒスパニック系(16.3%)にも及ばない。だが複雑な歴史的経緯を持つ黒人は、米社会の危機をいち早く伝える「炭鉱のカナリア」の役割を果たしてきた、と著者は言う(14頁)。この言葉は単なる比喩ではない。政党間の争い、外交と戦争、産業構造、都市環境、人口分布、ジェンダー問題など、様々な部門で地殻変動が起こる度に最大の影響を被ってきたのが黒人だった。黒人の通史、またアメリカの通史として、新書サイズではこれ以上望めないほどの完成度。2026/04/15
ジュンジュン
14
同名の岩波新書(本田創造著)にインスパイアされた正統後継本(あとがきより)。前著を引き継ぐように公民権運動以後が充実している。時たまニュースで見る警官による黒人への暴行。その裏には「産獄複合体」と呼ばれる利益集団の存在が。監獄建設には企業が、失業者には看守という雇用が、犯罪報道にはメディアが、そして政治家には関連企業から献金が、「企業、政治家、メディア、看守組合」集団は相互に潤い続ける。読んでいて切なくなった。キング牧師が語った”夢”が実現する日は本当に来るのだろうか?2025/07/09
預かりマウス
6
黒人に寄り添う立場から書かれている。建国期のアメリカを奴隷制共和国とし、現代に至るまでその特性を引きずっているという史観は面白いと思った。19世紀の歴史の内容は散漫で、南北戦争に至る経緯がわかりにくかったが、著者の語るとおり公民権法制定以後に力を入れた内容であるため仕方ないか。現代に近づくにつれて迫力が増してくる。インナーシティの荒廃や麻薬汚染とも相俟って、現代アメリカの巨大な暗部となっている産獄複合体の実態がよくわかる。奴隷制や政治的な差別はなくなっても、経済的に構造化された差別の実態が凄まじい。2024/11/13
Tomozuki Kibe
5
「アメリカのカナリア」…立場が弱く、社会の変動のしわ寄せを受けやすいために彼らの不満がアメリカの闇を表す。 戦時中、黒人将兵の士気向上のために平等の動き。 冷戦期には平等が看板の共産主義陣営に対するために平等を進める。 テレビの浸透により黒人層に白人の暮しが羨望の的に。 公民権運動は黒人にチャンスを与えることになるが、 近年は中間層と貧困層に分離する。BLM運動も通じて過激化2025/01/31
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