内容説明
挑発的な物言い、過剰なエビデンス主義、旧来の規範の軽視――とかく相手を「論破」することを是とし、かつ煽る「ひろゆき氏的な思想」が若者たちを魅了している。しかし、その行き着く先にあるのは、SNSでの誹謗中傷、過激YouTuberに外食テロ、FIREブームなど、現代特有の社会問題の数々である。ニーチェや三島由紀夫ら先人の思想をもとに、この危うい思考スタイルを乗り越える道を示す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
59
図書館で見つけて借りる。流行っている「ひろゆき的思考」への批判。規範をすり抜ける、新たな価値を創ればいいが、そんなことは一部の強者のみであり、そうでない一般人はどうすればいいのか。一応答えがあり、意外であったが納得。その人なりの神「押し」を探し、そのコミュニティの規範を内面化する。違和感を感じたら抜ける。適当にとって、ちょっと哲学要素が強いがなかなか響いた本だった。おすすめ。2025/03/02
よっち
32
若者はなぜ「ひろゆき氏的な思想」に魅了されるのか。とかく相手を論破することを是とし、かつ煽るこの危うい思考スタイルを乗り越える道を示す。旧来からつづく規範の軽視や軽く扱われていると感じる心境、努力神話や全人的教育の限界など、ひろゆき氏的な思想が支持されるようになっていった背景を考察しながら、その規範が消えた世界で起こっている誹謗中傷モンスターや陰謀、勉強垢と承認欲求の罠といった事象を紹介していて、後半はその素地を探る哲学論だった印象ですけど、あくまで強者の論理で背景がないと軽い反論と感じてしまいますね…。2024/11/28
あじむ
12
ひろゆき氏の有名な言葉がなぜ子どもたちの間で流行ったのか、その理由に迫った内容。氏の言葉は一種のギャグ的な要素で使われているのかなと個人的に思っていました。なので、使われる背景を知って納得すると同時に、今はこういう時代になってしまったのだと認識させられました。 ただ、途中からはひろゆき氏とは関連の薄い内容が展開されていきます。興味深い内容ではあるものの、これって何の本だっけ?となってしまいました。タイトル詐欺と言われても否定できない内容でした。これは売り出し方が悪いですねぇ。2025/04/01
のりえ
5
⬇️回りくどいのかまとまりがないのか、三島由紀夫の思想の考察が多いのばかりが印象に残って、よくわからなかった。サブタイトルの論破の功罪を明快に記して欲しかった。2025/03/16
フリット
4
昔、女の子に誘われて観た映画が「存在の耐えられない軽さ」だった。全く内容を覚えてないし、当時はかすりとも印象に残らなかった。もしかしたら凄い示唆に富んだ内容だったのかもしれないと、この本を読んで感じた。時代が流れてSNSが盛んになった今、価値観が混在して難しい時代になった気がする。どう生きるか、立ち止まって考える場面が必要かも。何でもありのような世の中になりつつあると、立川談志の言葉に重みを感じてしまう。2025/04/06