講談社文芸文庫<br> 恋ごころ 里見弴短篇集

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講談社文芸文庫
恋ごころ 里見弴短篇集

  • 著者名:里見弴【著】
  • 価格 ¥1,265(本体¥1,150)
  • 講談社(2024/09発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062900577

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内容説明

14歳の夏休みに、養家の盛岡を訪れ、そこで知った親戚の少女に淡い恋心を抱いた思い出を語る表題作。家を出て、大阪での芸者との恋愛・結婚の経緯を清新に描いた「妻を買う経験」等、自伝とフィクションを綯い交ぜに、流暢な文体と精妙な会話で、人の心の機微を巧みに描いた名作5篇を収録。明治、大正、昭和の文芸界を悠々と生き抜いた「馬鹿正直」で「一徹」で「涙脆い」、白樺派最後の文士・里見弴の真骨頂。

人の生の営みの機微を描いた心温まる短篇集――“最後の文士”里見は、94歳の最期まで現役作家として活躍した。抒情的で穏やかな、哀愁を帯びた感動を与える私小説の世界。読売文学賞受賞の表題作他6篇。

目次

恋ごころ
妻を買う経験
縁談窶
やぶれ太鼓
大火

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

fseigojp

19
小説の小さんと言われる人です 吉原炎上の話は臨場感あり 妻を買う話 もう少し配慮のある題にはできんかったのかとも。。。。2015/09/15

田氏

17
昔は良さがわからなかったもののうち、今になって考えが変わったものがどれだけあるだろうか。山歩きに武道に酒。珍味はいまだに苦手で、いつかその滋味がわかる日がくるだろうか、と思いつつ、いまだに以てその域に達することができないでいる。明治~大正の文学に対しても、そのような苦手意識がある。とりわけ、読み取る側にも「粋」が求められる花柳文学などはその極みで、本書をまず解説から開いてその字をみつけたときは途方に暮れた。それでも我慢して噛み続けていると、たしかに旨味が出てくる。いつかこの旨味を違う目で味わえるだろうか。2020/05/28

きょちょ

9
白樺派の一人。 彼の作品は初読。 表題作が一番好み。 当時から自覚していたのではなく、「今から思うとあれが初恋かな」と回想するのが、何とも言えぬ味わいがあるし、物語としても実に素晴らしい。 そして、リズミカルな文体には驚いた!  次に「縁談窶(やつれ)」、特に後半の鎌倉の場面は素敵だし、主人公の老人の回想が可愛らしい。 「大火」は、大事件をまじかに見た人間がその経験で少し天狗になることへの嘲笑の話かと思ったが、この作品も「妻を買う経験」と同様、最後はほのぼのとした結末になるのは予想外。 ★★★★2016/02/02

amanon

5
なぜこの作家をこれまでスルーしてきたのか?ついそんなことを思わされた。端正で品格のある文章。特に技巧を凝らしたとも思えない、何気ない表現が妙にグッとくること数知れず。また会話文にも独特の躍動感があり、つい引き込まれてしまう。ストーリーの構成も卓抜しているし、今日あまりに顧みられることのない感があるのが、不思議でしょうがない。個人的にとりわけ印象深かったのは「やぶれ太鼓」か。人好きのする性格であり、潜在能力も決して低くはないのに、怠惰な性格が災いして、今一歩のところで尻すぼみになる。それはそれで人生か。2022/11/01

きりぱい

5
「妻を買う経験」と「縁談窶」がよかった。妻を買うと言っても、相手が芸者で借金が付いてくるのに、その額いかんによって結婚を許すの許さないのと、もう買うも同然というような意味合い。道義だの何だのと引かない昌造の青さが苦々しく、世知に長け尽力に乗り出した内藤のはっきりした気性がいい。後者は、母親の干渉で縁談を断り続け、若い身空で快活さを失くしてゆく娘と、相談に乗る小父さんの励ましどころがいきおい想像たくましくなったり、会話のテンポの良さでも面白い。昔は放蕩で鳴らした男たち。片方のラストは温かく、片方は寂しい。2012/12/01

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