内容説明
学歴に見合うポストや報酬が得られず不満を抱いたエリートたちが反エリートに転化するとき、社会は崩壊に向かう――。数理モデルを用いて歴史にパターンを見出す「歴史動力学」の第一人者が、様々な時代・地域の分析を通じて現代社会と民主主義の行方を占う!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
138
粛清が繰り返されエリート階級が固定しなかったスターリン時代は、国家の新陳代謝が保たれたと旧ソ連出身の著者は見る。しかし粛清がなくなり支配階級が固定すると、急速に体制が老いてソ連崩壊という死を迎えた。現在のアメリカも市場原理と能力主義を唱えて富を独占するエリートと貧困化した大衆に二分され、エリート層に加わろうと望む若者が過剰生産される。しかしポストは大して増えず、敗れた脱落エリートが現状の制度や秩序破壊を望み急進化して断絶を加速するのだ。「アメリカは絶望したからこそトランプを選んだ」理由が明快に説明される。2025/04/08
りょうみや
31
歴史をデータ分析でモデル化する歴史動力学を創始したという著者。過去に崩壊した国家の共通点をあぶり出している。エリート達上位層と庶民との格差が広がることだけでなく、そのエリートが増えすぎてエリート間での争いが起こることが革命に繋がるという視点が新しい。骨のある内容だった。歴史もこのように理系化していくのだろうか。アメリカが中心でロシア、中国、欧州は取り上げられているが、今の日本はこの基準でどのような状態なのか知りたい。2025/02/01
naka
22
世の中の二極化が極端になることが、革命や内戦、滅亡につながるというのが著者の考えです。上位のエリートの中では競争が激化し、そこから落ちこぼれた人が下の階層の不満を持った人たちとつながることによって、国が滅びたり革命が起きたりするといった流れを説明しています。 面白いのが、今のアメリカやロシア、ウクライナ、中国についてなども、こうした考えに沿って分析がされているのが興味深いです。 2025/01/14
harumi
16
『複雑な人間社会をうまく機能させるには、統治者、行政官などのエリートを、全員の利益のために行動するように抑制することだ』。やはり選挙に行く、投票する、ということが肝心要なのだということがよくわかりました。紀元前から現代まで、ヨーロッパアジアアメリカと縦横無尽に国家の盛衰を持論で解説しているのでとても面白く読めました。2025/02/23
4492tkmt
10
大学が多すぎて、学士、修士、博士など学歴の価値低下の状況だから、大学減らせば、高卒・専卒の労働人口が増えるし、早めに就職すれば所得も増え、少子化にも効果があるんじゃないかという問題意識があったので、タイトルに魅かれて購入。ただ、「大衆の貧困化」も、もう一つ、国家の衰退を引き起こすキーワードとして挙げられているので、これだけの邦題はミスリードな気もする。なお、数理モデルを使ったクリオダイナミクスの本でも、表も数式も一つも出てこない。一般向けとはいえ、逆にわかりずらいというか、説得力がなくなっている気がする。2025/01/26
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