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内容説明
1800年ぶりに「諸葛丞相」復活?/元寇を知らない中国人/美少女ソシャゲに李白の漢詩登場/孫子の兵法で反体制暴動を鎮圧/台湾有事は始皇帝が原因?/一帯一路で長安に朝貢国集結/「儒教道徳の先生」と化す共産党/「隴西の李徴」の後輩が大学受験で無双/横暴中国の根はアヘン戦争/悩める若者が毛沢東に頼る……。これは“現代中国”の本だ! 三国志、元寇、アヘン戦争……。これらの単語は、日本では小中学生でも知っている。『キングダム』や『パリピ孔明』をはじめ、中国史が題材のエンタメも大人気だ。いっぽう、現代日本人は中国が「嫌い」だ。内閣府の最新の世論調査では、国民の約9割が中国に親しみを感じないと回答。多くの人にとって、歴史の中国と現代の習近平政権の中国は「別物」の存在である。ただ、その考えは中国側では通じない。現実の中国は歴史の積み重ねの末に生まれ、社会の底流に歴史が流れ続けている。中国共産党すらそれを意識して政策を決定し、習近平は演説に古典を引用し続ける。諸葛孔明、始皇帝、孔子、孫子、元寇、アヘン戦争、毛沢東まで。現代の中国社会と中国共産党は、自国の歴史をどう見ているのか。令和日本の中国報道の第一人者による、渾身の中国史論!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
127
「中国は嫌いだけれど、古典中国は好き」と言う人が多いという指摘に納得する。確かに、中国政府に怒りを覚えても、孔子や司馬遷などに親しみを感じ、壮大な中国史に胸躍らせる自分がいる。著者は、両者は繋がっているのだと言う。そして、中国政府が巧妙に歴史を利用している具体例を列挙する。始皇帝の国家統一が台湾統一に、諸葛孔明の辺境政策が少数民族統治に、鄭和の大遠征が一帯一路に、洪武帝の洪武反貪が「虎も蠅も叩く」反腐敗キャンペーンにと。「中華民族の偉大なる復興」というスローガンのために、中国史が翻弄されている現実を知る。2024/10/29
まーくん
104
少々、刺激的、キャッチ―な題名だが、中国史を題材にしたRPGゲームにはまっている特に若い人はたとえ現在の中国が嫌いでも中国史には興味あるでは?その過去の歴史が現在の中国の政治文化にどう反映されているか?現代中国を知るためには中国史を知ることが手掛かりになりますよ、という切り口で読み解く。取り上げている古典や事件・人物は『三国志演義』の諸葛孔明、『水滸伝』、孫子、元寇、アヘン戦争、孔子、科挙、李白、始皇帝、毛沢東など馴染み深い物。現代中国の政治・文化の理解には中国史や漢文の知識が有用と著者は強調する。⇒2024/10/26
HANA
71
滅茶苦茶面白い。中国史といっても年表風の一本道ではなく、かと言って各時代のエピソードを描き出すのでもなく、現代中国において過去の歴史がどのように取り扱われているかを説いた一冊。有名なものだと孔子の変遷、当初は批判の対象だった孔子が今や孔子平和賞やら孔子学園やらと中国外交の顔になったエピソードとか。中国のテレビ番組でのマルクスと孔子の対談は爆笑したし。斯様な様々な過去の出来事、始皇帝、科挙、元寇そして毛沢東をキーワードの現代中国があからさまになっていく様は目が離せない。特に毛沢東が孕む不穏さと言ったら…。2024/10/25
skunk_c
63
タイトルはこの出版社らしい「売らんがな」ではあるが、内容は真っ当。PHP「Voice」連載のものをまとめたようで、テーマ別に編集されている。著者は中国史だけでなく漢詩や文学にも造詣が深く、記述は丁寧。「おわりに」で著者自身が書いているように、言葉に責任を持たないものが書く「嫌中もの」とは一線を画している。ただ、特に最近の習近平に対してはかなり厳しい見方をしており(博士論文代筆の話も2回登場)、現状の中国の行く末に対しては警戒心があるようだ。確かに10年を超えて権力の座にあるのは、やはりかなり不健全と思う。2025/04/18
ふくとみん
31
図書館で借りて読んだ。以前は陳舜臣を読んで中国がわかった気になっていたが中国が日本を超える存在になってわからなくなってきた。習近平が儒教の考えを取り入れたり、王力雄が反体制作家として存在しているなど知らないことが書かれてあった。最後の参考文献で読んだのは数えるほどしかなかった。中国を理解するのは大変だ。2025/06/19




