ちくまプリマー新書<br> 東大ファッション論集中講義

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ちくまプリマー新書
東大ファッション論集中講義

  • 著者名:平芳裕子【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2024/09発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480684936

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内容説明

ファッションとは何か? 衣服とは? 12のテーマを通じて文化や芸術としてのファッションを学び、歴史と未来に問う。東大生の反響を呼んだ一度きりの特別講義がその熱を凝縮した一冊となってよみがえる。

目次

それでもファッションを研究する──イントロダクション/ファッションは浅い!? /なぜファッションは学問として認められなかったのか? /ある時代に限られた気まぐれな流行/「芸術作品としては不十分」と考えられていた/「女性」と結びつけられてきたファッション/盛り上がるファッション研究/集中講義1日目 西洋のパラダイム/第1講 裁断と縫製──衣服に起源はあるのか/服を着るのはなんのため? /根源的な行為/一枚の布から衣服を作るには/「体に合わせた服を作る」という思想/布の裁ち方はいかに広まったのか/裁断技術で魅せたデザイナーたち/裁断と縫製を理想とする西洋の価値観を塗り替える/第2講 言葉と学問──ファッションは何を意味するのか/服なのか、現象なのか? /「ファッション」という言葉の由来/礼儀作法を身につけた身体/王さまのひだ襟はなんのため? /「うつろいやすいもの」の誕生/過去への注目と「服飾史」のはじまり/みんなが持っているものを欲しいと思うのはなぜか/産業革命後のパラダイム/第3講 作法と流行──ファッションはなぜ女性のものとなったのか/「男性は着飾るべきではない」という社会通念/ジュエリーとストッキングで着飾るヘンリー八世/ハイヒールを履いたルイ一四世/華やかな装飾に男女差はなかった/貴族的価値を否定する実用的な服/男たちはスーツで仕事へ、女たちは着飾り留守を預かる/暇に興じる有閑夫人たちのドレス/いまだその枠組みは揺らいでいない/集中講義2日目 近代がもたらしたもの/第4講 自由と拘束──女性の身体は解放されるのか/身体を縛りつけるコルセット/コルセットなくしてドレスを着ることはできなかった/女性たちは外へと飛び出し始める/近代化と装飾や拘束からの解放/シャネルは女性服に実用性をもたらした/若々しくエネルギッシュなスタイル/ファッションの自由は獲得されたのか? /第5講 モデルと複製──ファッションデザインの近代/服に「デザイン」という概念が生まれたのはいつ? /あらかじめ完成見本を作り、デザインの決定権を握る/複製技術の時代/雑誌メディアがパターンを拡散する/コピー商品の登場/既製服の需要の高まり、歓迎される斬新なアイデア/「標準的な体型」のために作られた衣服/第6講 メディアとイメージ──衣服がファッションになるとき/服はただそこにあるだけでは流行とはならない/異文化への好奇心を駆り立てた「見聞録」/ファッション誌の誕生/アメリカでもパリの流行が知りたい! /パターン(型紙)というメディア/写真に添えられた「言葉」こそがファッションをつくる/デジタルメディアはファッションの本質を変えたか? /集中講義3日目 創造性への問いかけ/第7講 展示と鑑賞──ミュージアムのファッション展/「美術館をブティックにするつもりか?」/収集展示品としての衣服/アメリカの既製服への貢献/メトロポリタン美術館に服飾部門が誕生/名編集長ダイアナ・ヴリーランドの辣腕/「世界観」を提示する/日本のファッション展のあゆみ/死すべきファッションに息を吹き込む? /第8講 身体と表象──ファッションとアートの接近/異なる領域にありながら密接な関係にある/芸術作品のなかで描かれるファッション/芸術家による衣服のデザイン/アヴァンギャルドの芸術家たち/舞台芸術のなかのコスチューム/「身体」を問いはじめたアート/ファッションシステムへの異議申し立て/欲望と産業構造の上に成り立つクリエイション/第9講 名と言説──シャネルはなぜ評価されるのか/二〇世紀で最も重要なデザイナー活動的でオリジナルなスタイル/見向きもされなかった素材で常識を覆す/隠遁と復帰/なぜアメリカはシャネルとその「コピー」を歓迎したのか/「シャネルスーツ」はアメリカの理想を概念化した/集中講義4日目 歴史と未来をつなぐ/第10講 女性と労働──お針子像は消えたのか/ミロのヴィーナスがその手に掲げていたものは? /過酷な労働に従事する「お針子」/「伝統的な仕事を守る存在」として美化される女性/劣悪な労働環境は今なお続く問題/その服は本当に必要なのか? /「縫う女性」のイメージがまとうノスタルジア/第11講 日本と近代──洋服とはなんだったのか/なぜ「洋服」が当たり前になったのか/近代化を目指した明治政府のプロジェクト/女性たちは洋髪を取り入れながらも和服を着続けた/モダンの風が吹く大正時代/戦争が女性たちにズボンを穿かせた/戦後文化と洋服への情熱/第12講 批評と研究──ファッション学からファッションスタディーズへ/鷲田清一の〈服を着る「私」の考察〉/時代を洞察する文化批評の役割を果たした/ファッション研究の曲がり角/二一世紀日本のファッション研究/拡がっていくファッションスタディーズ/あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

112
とても読みやすく、ファッションに関わる根源的な問題「なぜ人は服を着るのか」をさまざまな角度から考えることができます。当然のように洋服を着ているわれわれも、明治時代からの政府による政策がはじまりであり、スーツとはフランス革命による貴族制の崩壊と産業革命による機械化を経て市民社会を代表する衣服となったものである。衣服は社会によって形を変え、生活様式や作法により時代と共に変遷したが、現代ではそれを流行=ファッションと呼ぶ。一枚の布を着るのは、母の胎内から引き離されたヒトが母の皮膚の代わりに纏うものなのだろうか。2024/12/10

neimu

58
ファッションは東大に置いて重要ではなかったのか、浮ついた流行なぞ、学問の世界には関係ないという位置づけだったのか。文学部史上初ということだが、別に文学の世界で語られなくても、社会学でも美学でも何でも良かろうと思ってしまうのは素人だからか。意外とあっさり読めてしまう内容だったが、現場で講義を聞いているとまた雰囲気は異なるのだろうし、この年齢で読むのと、初々しい学生が講義を聞くのとでは刺激の度合いも興味の持ち具合も雲泥の差なのだろう。こういう切り口で講義の形にするのだという感覚が得られたのは良かった。2025/02/23

エドワード

27
ファッション。浮かぶ言葉は流行、服飾。それは芸術なのか?研究すべきものか?それを考える4日間の集中講義。私には「ファッションは必ず廃れる」という言葉が印象に残った。19世紀の衣装は今はない。戦前戦後の服装も今はない。それは美術館にある。故に、芸術であり、研究の対象なのだ。私が学生の頃に好んで着ていた服装を今は購入できない。トラッドな服でも時代にあわせてデザインが変わる。時とともに移ろいゆく、ファッション。かくも内容の濃い、東京大学文学部美学芸術学特殊講義を聴講できた学生は幸せだ。これこそが大学の授業だ。2025/06/12

kei-zu

27
文明以前の服から始まり、ファッションのこれまでとそこに込められてきた意味を俯瞰する。デザインのコピーを否定的に捉えずに流行として許容した歴史があったとは興味深い。2025/01/28

かんがく

17
「浅い」として伝統的な学問の世界において軽視されてきたファッションを歴史、ジェンダー、美術、社会学、哲学など様々な視点から学問的に分析する。シャネルやディオールなど現在でも有名な名前も多く出てきて興味深く読めた。何を着るかという選択は、人間社会のあらゆることに繋がっている。2024/12/02

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