講談社現代新書<br> 人はどう悩むのか

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講談社現代新書
人はどう悩むのか

  • 著者名:久坂部羊【著】
  • 価格 ¥957(本体¥870)
  • 特価 ¥478(本体¥435)
  • 講談社(2024/09発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784065372258

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内容説明

日本は今、「人生100年」と言われる長寿国になりましたが、その百年間をずっと幸せに生きることは、必ずしも容易ではありません。特に人生の後半、長生きをすればするほど、さまざまな困難が待ち受けています。
 長生きとはすなわち老いることで、老いれば身体は弱り、能力は低下し、外見も衰えます。社会的にも経済的にも不遇になりがちで、病気の心配、介護の心配、さらには死の恐怖も迫ってきます。
 そのため、最近ではうつ状態に陥る高齢者が増えており、せっかく長生きをしているのに、鬱々とした余生を送っている人が少なくありません。
実にもったいないことだと思います。

 その状態を改善するには、どうすればいいのか。
 身体を鍛え、機能の低下を防ぐためにあらゆる努力を重ねることでしょうか。
 ちがいます。老いに抵抗することは、どんどん数が増える敵と闘うようなものです。それならば老化予防に執着するより、早めの和平、すなわち実現可能な状態で満足するほうが理に適っています。
 身体が衰えるのは致し方ないとしても、精神的に健康であれば、日々をよりよく生きられるでしょう。病気や障害があっても、経済的に恵まれていなくても、家族がいてもいなくても、精神的に満たされていれば、幸せを感じることができるはずです。
「幸せな老後」を実現するのに、何より大切なことは、精神的に満たされること、すなわち、「精神の健康」です。

私は精神科医ではありませんが、福祉系の大学で「精神保健学」を昨年(2023年)まで、15年間、学生たちに講義をしてきました。精神保健学とは、文字通り「精神の健康(メンタルヘルス)を保つ」ための学問です。「精神の健康」とは、言い換えれば「毎日を気分よくすごせる状態」です。悩みや不安もなく、社会人、家庭人、個人として、健全な生活をしていることです。すなわちそれは、「幸福」ということで、年齢や地位や財産などに関係なく、生きていく上でもっとも大事なものではないでしょうか。

そこで、本書では、各ライフステージに潜む悩みを年代ごとに解説していきます。ふつうは時系列に沿って、生まれたときからスタートしますが、今回は逆に高齢者の側からたどってみたいと思います。
というのは、今の超高齢社会では、高齢者うつなど、「精神の健康の危機」に直面している人が多いからです。お釈迦さんが唱えた「生老病死」の四苦のうち、「老病死」の三つが襲いかかってくるのが高齢者です。悩みは心に生じるもので、物質や事実のように客観的に存在するものではありません。それなら、事前に悩みのありようを知ることで、実態のない悩みを少しは抑えることができるのではないでしょうか。せっかく手に入れた長生きを、気分よくすごす。それが本書の目的です。

目次

はじめに
第1章 他人事ではない高齢者うつ
うつになりやすい高齢者/「うつ」とはどういう状態か/うつ発症のきっかけ(・退職して仕事がなくなる・配偶者の死・同世代の知人や友人の死・麻痺や不自由を伴う病気・身体の機能低下・環境の変化・些細な失敗・その他)/うつのサイン/うつと仮性認知症/うつの治療/うつの予防
第2章 うつだけではない高齢者の悩み
老年期の三大喪失体験その1身体的喪失/老年期の三大喪失体験その2社会的・経済的喪失/老年期の三大喪失体験その3性格の変化/老いを認めない悩み/したいことができない悩み/周囲に迷惑をかけたくない悩み/リハビリの悩み/完全主義者の悩み/プライドがもたらす悩み/世の中の変化に対する悩み/敬老精神の衰退に対する悩み/不安と疑心暗鬼がもたらす悩み/配偶者に先立たれる悩み/長生きをしすぎる悩み/自殺に至る悩み/家族と友人の大切さ、ひとりで生きる強さ
第3章 中高年の心の危機
中高年にも危機はある/会社人間のジレンマ/リストラの恐怖/昇進うつと上昇停止症候群/定年というハードル/中高年の家庭に潜む危機/重複する困難/夫源病・帰宅拒否症/熱心な母親が陥る空の巣症候群/男女ともにある更年期障害/人生の折り返し点という危機/中高年のうつ/アルコール依存・買い物依存・ギャンブル依存/逸脱行為・妄想から人生の破綻へ/危機を乗り越えるには
第4章 大人になってからの危機
人生が決定される時期/「職場」という圧力/人付き合いの圧力/職場のメンタルヘルス/さまざまな症候群(・燃え尽き症候群・途中下車症候群・無断欠勤症候群・無気力症候群・出社拒否症候群・サザエさん症候群・サンドイッチマン症候群・仕事依存症候群・飛行機雲症候群)/職場で心の健康を損ねやすいタイプ/思わぬ展開があることも/恋愛から結婚の現実へ/家庭での役割の悩み/仕事と家庭の両立/家庭に潜むさまざまな危機(・DV〔配偶者暴力〕・共依存・機能不全家族とアダルトチルドレン・セックスレス・仮面夫婦、家庭内別居・離婚の危機)
第5章 困難な青年期
いきなり決断の時/職業的決断/終身雇用と年功序列の崩壊/結婚というギャンブル/結婚で幸せをつかむには/生きる意味の追求/勝手にモラトリアム/自分探しの罠/ニート・ひきこもり・フリーター/モラトリアム期のさまざまな症候群(・青い鳥症候群・シンデレラコンプレックス・かぐや姫症候群・ピーター・パン症候群・ウェディジレンマ・スーパーウーマンシンドローム・触れ合い拒否症候群・アパシーシンドローム・リストカッティングシンドローム)
第6章 悩ましい思春期
カラダとココロの急変期/アイデンティティの芽生え/性の目覚めと性的問題/容姿にこだわる思春期/不登校という概念の発見/非社会的行動と反社会的行動/未熟な価値観の崩壊/思春期の嵐
以下項目省略
第7章 ハードな学童期
第8章 油断できない幼児
第9章 現代を悩まずに生きるには

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

りんご

52
「人はどう〜」死ぬのか/老いるのか に続く三作目。老年期の悩み苦しみから遡ります。初老、中年、働き盛り、若手、高校大学生、思春期、学童期、幼児期。どの世代でも悩みは尽きない。羅列羅列。ちょっと飽きますが、私は久坂部ファンなので、たまに挟まれる先生個人のエピソードにニヤッとします。何でこんな羅列するかって?今より悪い想定をしたら、今の悩みが軽くなるっしょ?ってコンセプトです。「思い通りにならないことをどうにかしようとするから苦しい(要約)」ほんそれ。悩むのがヒトではあるが、苦しみはほどほどがよい。2025/07/28

けぴ

40
心に残った名文「この世に楽な仕事はない、無茶な客に耐えるのも、無能な上司に従うふりをするのも、全部ひっくるめて仕事で、給料はその我慢料である」。高齢から中高年、青年期、思春期、学童期、乳児期と人生における悩みを軽いタッチで解説しています。こんなエッセイも良いが、やっぱり小説が読みたいものです。2025/04/10

よっち

30
「人生100年」と言われる時代。せっかく手に入れた長生きを気分よくすごすために、事前に悩みのありようを知ることを試みる1冊。各ライフステージに潜む悩みを高齢者の側から辿っていく構成で、他人事ではない高齢者のうつとはどういう状態か、身体機能や社会的・経済的な損失、性格の変化といったうつだけではない高齢者の悩み、中高年の心の危機、大人になってからの様々な危機、様々な決断を迫られる困難な青年期、悩ましい思春期に至るまで、自分が未経験の部分は想像することしかできませんが、長生きしたらしたで悩みは尽きないですね…。2024/10/09

kum

23
初めて電子書籍を1冊完読。通勤中に読むのには便利だが、メモ機能もあるとはいえ読み終えて全体を見直すにはやはり不便…というのが今のところの感想。生まれてから老いるまで、そのライフステージごとに経験する悩みの数々。種類や対処法は違えど、どのステージにもそれぞれの悩みがある。人生百年時代、幸せな老後の実現のためには、老いに抵抗するよりも精神が健康であることが大事。「いつまでも元気で若々しく」とか「人生まだまだ自分らしく」などというきれい事が逆に老いの現実を受け入れにくくしている、という一文にはなるほどと思った。2025/04/04

aloha0307

21
この国は「人生百年時代」と言われる長寿国 人生の後半になればなるほど困難がありました(本書によればこの先はさらに押し寄せてくるのだそうです)。「幸せな老後」のために何よりも大切なことは...「精神の健康」です。これから起こることになるべく期待値を高めず、不具合をできるだけ多く、できるだけよくない状況を想定しておくことが肝要と知りました。2025/02/24

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