内容説明
郷土とは、子どもが日々暮らしている場であり真の生活のあるところ。自分の生活と深い交渉のある地域に注目させ、郷土人の力も借りて、そこに働く自然の力と人間の営みを探究することで魂にふれる体験ができる。そして、地域の真髄に分け入ることで、ものごとを深く考える経験ができ、「知識は力」となる学習が成り立つ。「自然と人間の営み」を探究する郷土教育をベースに、日本のなかの地域・自分、世界のなかの地域・自分を発見して、自らの地域へのかかわりを創造していく筋道を説き明かす、真の体験と知育の結合した教育を提案。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
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独学で教壇に立ったという著者による、郷土にこだわった教育実践の集大成の一冊。解説によると、学ばせて、構成・創造させる教育方針に共感を覚えた(p.21~)。風土とは地域の実体で、文化と産業の両立は今日的課題でもあり、重要なテーマを扱っていることがわかった。ラスキンの『建築の七灯』も読まれていることから、その郷土をなんとかするための並々ならぬ気概が感じられる。ものを深く観る、一木一石も考えながら観る、という、観察重視の学習。水車小屋の写真をみれば、小水力発電の脱原発の現代でも非常に有意義なテキストと思える。2012/06/24