内容説明
「そこにどれほどの幸福があったのか、私たち以外、誰にもわからない。」 時代をさかのぼり紐解かれていく桐子と百合子の姉妹の人生。 戦争孤児だった二人は正反対の道を選ぶこととなり、背中合わせに生きてきた。 辿り着いた先に「幸い」があると信じて――。 最注目の若手作家がおくる、温かな涙があふれる、感動の傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モルク
145
戦争孤児となった桐子、百合子姉妹。親戚の家を渡り歩き、彼らの目、自分達の立場を気にし肩身狭く生きてきた。吉沢家でやっと普通の生活が与えられ優秀な桐子は大学まで行かせてもらえたが…そこには吉沢家の目論見があった。障害者の息子との結婚を求められ、姉の代わりに自分をと申し出る百合子。いつか二人だけの理想の家を持つことを夢見て桐子は教職につく。姉妹の苦難と願い。姉妹の深い絆、強くて深い思いやりを持ち続ける…最期の時まで…。とても良かった。2025/06/23
ちょろこ
142
豪邸に住む老姉妹の物語の一冊。パッと心和らぐ装丁と共に現在から過去へ遡る物語は老姉妹の人生アルバムを捲るよう。徐々に紐解かれる時代と追い求めた夢に気づけば時を忘れるほど夢中になった。強さと優しさの鎧を纏いながら選んだ対照的な人生はもちろん、後悔や勘違い、タイムラグのような二人の心がせつなさに拍車をかける。置かれた場所で咲く花もあることを妹の百合子の姿から学び自分も丁寧に物事を見つめ生きたくなった。幸せを掴む傍らで誰かを幸せへと導いていた姿は間違いなく胸をはっていい二人の幸いだと思う。静かな涙が似合う良作。2025/01/14
hiace9000
138
時代とともに変わっていく「幸せ」もあれば、変わることなく時代を貫き通すそれもある。社会や、もちろん人によって希求する「幸せ」は異なり、無理に自分が同化することも、人に押し付けることも、それは間違いなのだろう。豪邸に住まう見た目も性格も正反対の老姉妹が亡くなったところから始まる、80年の逆巻き年代記。不遇な子ども時代を取り返すための理想の像を求め、異なる生き方を求めつつも、幸せに辿り着けると信じた二人は、どんな人生を歩み、今に至ったのか。視点切替えの巧みさが人物に立体感を与え、読み手の心を切なく締め上げる。2025/03/10
fwhd8325
133
タイムラインに流れてくる、この作品の感想を読んだとき、とても読みたくなりました。そして、その直感は間違っていませんでした。「2024年千絵」を読んだとき、最初の涙があふれました。この先の展開へのゾクゾクする感覚が押し寄せてきました。物語の根底には、戦争があります。戦後を生き抜いた姉妹の物語です。二人は強く美しい。美しすぎます。2025/05/27
ゆみねこ
101
豪邸に住む高齢の姉妹・桐子と百合子。ある日二人とも亡くなっていた。なぜ二人でこの豪邸に住まうことになったのか?2024年から20年ごとに遡り、姉妹の人生を語ってゆく。市役所に勤める青葉青年との関わり、二人が辿った道。じんわりと心に染みる素敵な1冊、お薦めです!2024/10/26
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