内容説明
日本仏教の最大宗派・燈念寺派で弱者の救済を志す若き僧侶・志方凌玄。バブル期の京都を支配していたのは、暴力団、フィクサー、財界重鎮に市役所職員……古都の金脈に群がる魑魅魍魎だった。腐敗した燈念寺派を正道に戻すため、あえて悪に身を投じる凌玄だが、金にまみれた求道の果てに待っていたのは――。圧巻の社会派巨編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
512
デビュー当時の『機龍警察』を雑誌でつまみ読みして心をぐいとつかまれた作家さん。今作も期待大で読み始めた。貧乏寺の息子であった主人公が佛教系大学を経て、総本山(ほかに知らないので比叡山あたりを念頭に)の端っこに職を得、裏社会の力を借りながらどんどん梯子を上っていく、というストーリー。最初は気の弱そうだった彼が、権力欲を目覚めさせるプロセスが弱い。丹念な取材を基に描かれたと思うが、ここまで取材内容をふくらませる必要はあったのか。ラストは意外だった。でもまぁ、タイトルが・・・ね。2025/05/25
W-G
443
神性や悟りの片鱗がまったく見られない、俗塗れの仏教宗派での成り上がりを描いた作品。この手の物語、時代設定としては、どうしてもバブル期になってしまいがちで、そうすると展開も見えやすくなってしまうのが難点。本作はあまり世間に馴染みのない界隈を描いていることで、多少なりとも新鮮味があるかと期待していはいたけれど、まぁわかりやすい権力争いや土地転がしばかりではある。ただし、宗派内のヒエラルキーや内情など、ならではの要素もあって退屈することはない。直木賞候補にあげられるだけあって、読み応えはじゅうぶん。2025/03/15
starbro
288
月村 了衛は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 本書は、京都腐坊主暗躍破滅譚の大作でした。古今東西、坊主丸儲け、権力を握った高僧達は、碌なもんじゃありません。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001702.000047877.html2024/11/26
美紀ちゃん
202
直木賞ノミネート作だったので読んでみた。 志方凌玄が、伝統仏教最大宗派の一つである包括宗教法人燈念寺派のトップである総貫首まで昇りつめる話。 京都弁は、優しい雰囲気があるのに、ヤクザ映画を見ているような迫力ある恐ろしい話だった。そして、極妻のようになってしまった美緒さん。 もっと心配なのは、1人息子の旺玄くん、真っ直ぐな人生を送れるのだろうか?無理そうだけど。2025/07/27
いつでも母さん
180
いやはや、あんぐり開いた口が塞がらない感じの読後感。京都だもの仏教界だもの、ここまでとは思わないが有りそうでゾッとしつつ想像が膨らむ。どこぞの宗派・お寺が浮かんだりして下衆な私(汗)どの世界でも、人が集まれば「てっぺん」を取りたがるのは生きものの性だろうか。立派なお題目を掲げてもやることがえげつなく、三竦みどころか呉越同舟、一蓮托生、昨日の友は今日の敵・・そんな言葉が駆け巡る。月村さんだもの生死が絡む肉弾戦も用意されているのはお約束か(ニヤリ)栄枯盛衰一人の男の生きざまをまさしく【虚】と読んだ。2024/11/15
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