角川新書<br> 〔新訳〕 ジョニーは戦場へ行った

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角川新書
〔新訳〕 ジョニーは戦場へ行った

  • ISBN:9784040825045

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内容説明

「そんなわけで、すいませんが、あなたはどうぞ自由のために戦ってください。ぼくはあんまり興味がないんで」
2つの世界大戦からベトナム戦争にかけて、反戦の旗印として文学史に刻まれた問題作

『ローマの休日』『黒い牡牛』『スパルタカス』……赤狩りによってハリウッドから追放されながら、数々の歴史的名作を生み出した稀代の脚本家、ダルトン・トランボ。彼が第二次世界大戦中に発表し、過激な反戦小説として波紋を呼んだ問題作、待望の新訳!
第一次世界大戦下、仏戦線での砲撃により、視覚・聴覚・味覚・嗅覚と四肢を失った青年ジョー。すべてを奪われ、後悔の中で絶望に囚われた彼が、ふたたび世界と繋がるために見つけた希望とは?
解説・都甲幸治

【アメリカで「発禁」処分に?】
本書はアメリカ国内で長く流通していなかったため「発禁書」であったと記述する本もある。
実際には「発禁」は事実ではなかったが、絶版状態が続いていた。
第二次世界大戦下、極右派や親ナチス勢力に利用されることを恐れたトランボは、大戦が終わるまで本書を復刊すべきではないと考えた。
(著者まえがきより要約)

【目次】
まえがき(一九五九年)
追 記(一九七〇年)

第一部 死 者
第二部 生 者

訳者あとがき
解 説 蘇るトランボの遺志   都甲幸治

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くさてる

24
十代のときに旧訳版を読んで、ずっとその文庫本を大事に持っていた。いま確認したら、平成元年の発行だった。とても大事な一冊だったので、新訳が出たと知り、喜んで手に取ったのだけど、読み進むにつれて、なんか違う……感が。現代では差別語とされる言葉を違う表現にしているせいだろうか、全体的にぬるい。十代の感性といまでは違うのか、と旧訳を再読したけれど、その迫力、瑞々しさは記憶のままだった。この時代にこの本が新訳として出たこと自体は素晴らしいし、本自体の価値には変わりないと思うけれど、私は圧倒的に旧訳が好きです。2024/10/19

ポテンヒット

15
この本には様々な対比が見られる。章で分けられた死者と生者。故郷の思い出と悲惨な戦争の描写。生きているのに死者のような主人公と、死んでいるのに地上に放置されたドイツ兵。そして、軍歌の一節Johnny get your gun(ジョニーよ銃を取れ)と原題Johnny got his gun(ジョニーは銃を取った)。戦争を起こす者たちへの痛烈な皮肉と激しい怒り。国や家族の為にとか名誉といった美しい言葉に騙されるな。これはお前の戦争じゃない。主人公の壮絶な魂の叫びに圧倒された。2024/12/04

Sin'iti Yamaguti

4
映画は有名だが、原作が新訳で出たのはうれしい。米国でも日本でも戦争被害者を「英霊」とすることで、死者を敬っているように見せかけその実は政治利用している。これに対する強烈なカウンターパンチである。「死人に口なし」。本作の主人公は死人ではない。両手両足・目・耳・鼻・口を失ってもなお生きて考えている。その思いをモールス符号として伝えることを思いつき実行した時、周囲は彼を生かすことを拒絶し(かといって死なせることもせずに)永遠の闇に葬り去る。主人公が真に願ったことはなんだったのか、を聞き取ることが私たちの責任だ。2025/04/03

てっちゃん

4
かつてこの映画を見たが、とても衝撃的だった。小説を読んで、あらためて反戦文学の金字塔だと思う。2025/03/19

まなぶ(本コレクター)

2
読んでいてずっと心が痛い。戦争で触覚以外の全感覚と四肢を奪われた青年ジョー。彼の思いが、心の叫びが読者をぶん殴ってくる。第1部と第2部それぞれの最終章がすべて。全人類が読むべき本。2024/09/30

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