内容説明
「差別はいけない」「弱者・少数者は社会によって守られるべきだ」「多様性を尊重しよう」……どれも正しく、当然のことだ。異論を言う人はまずいない。倫理的にも政治的にも正しいと言えるだろう。だが、一部にはポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ=ポリコレ)を、恣意的に拡大解釈し、利用しようとする動きがある。「多様性を認めよ」と言いながら、自分が考える以外の一切の異論は認めず、モンスター的に追い詰める。ポリコレ先進国・アメリカでは、「キャンセルカルチャー」と称してかつての大統領の銅像を引き倒したり、「差別されてきた弱者だから、放火・暴行や略奪も許される」と主張する犯罪行為さえ激増。また、性的少数者をめぐるトラブルや、新しい差別も増加している。一方、日本では「お母さん食堂」が批判され、「肌色の色鉛筆」は消え去った。子どもたちは学校で「あだ名」をつけることも許されず、一部の伝統行事や文化も、過剰なポリコレにより消滅しかねない。少数者の権利を認め共生しようとするのでなく、少数者のためという名目で多数者を迫害しようとすることは、「機会の平等」でなく、「結果の平等」のみを求めること。そして、誰も幸せにならない「新たな不平等社会」を創造するだけなのではないのか。
多くのノンフィクション作品で高い評価を受けてきた著者が、忠実で丹念な取材力を基本に、過剰な「ポリコレ」の正体を明かし、警鐘を鳴らす。
公平と平等について改めて考えるための刺激的な1冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
122
アメリカにおけるポリコレの蔓延ぶりは聞いてはいたが、ここまで凄まじい状況とは想像を絶する。目的のためなら手段を選ばないのが共産主義活動家の基本だが、反差別と多様性尊重という誰も反対できない理想を掲げ、少しでも反対する者を徹底的につるし上げて黙らせるのだから。真の多様性尊重とは異論を認める社会のはずなのに、ポリコレに賛成する者こそ愚民ではないのか。米国民が息苦しさを覚えるのも当然だが、民主党左派はすっかり取り込まれてしまったようだ。トランプはポリコレ禁止を公約すれば、次の大統領選でバイデンを打倒できるかも。2022/04/24
Emi
43
差別ダメ、多様性を尊重、これには異論ないです。レイシストとかでない普通の人はそうだと思う。でも昨今の弱者や正義を盾にして人を黙らせるような風潮や過剰な配慮は嫌だなぁ。正義の仮面を被られると誰も反論出来ません。SNSもあって大きな声を恐れて何も言えない世界になってきてる?作者さんはかなり極端な見方もされてるとは思うけど納得とか同意するところも多かった。ホントにアメリカではメリークリスマスも言えないのか?多様性の名のもとに多様性を潰して分断を深めるような世界にはなって欲しくないと心から思います。2023/04/09
Apple
43
メディアやSNSで、言葉狩りじみた炎上•騒動が頻発するようになって久しい。LGBTQやBLMで騒ぐ人たちの思惑は何だろう、と前から思っていましたが、共産主義的な発想にまで繋がってくるとは思いませんでした。LGBTをひとくくりに弱者と決めつけ、活動するのも、必ずしも当事者のためになっていないんだなあと思いました。言葉狩りの幼稚さというか、その意図•真意を図ろうともしない状態があるなあと思います。SNSユーザーも注目を集めるべく乗っかっているだけな雰囲気もありますが、左翼とかそういう話も出てくると難しいですね2023/03/11
ムーミン
42
ちょっと聞いていると正しそうに思えるものの、なんとなく違和感を感じていたその手の主張。その違和感の正体が自分の中で納得できました。読んでよかったです。2022/07/10
ふみあき
41
米国の大学で蔓延しているという、文革の紅衛兵の如きリベラル学生による保守派の吊し上げや、日本でも東京五輪直前の森喜朗の女性蔑視発言、そしてバッシングを受けての会長辞任という一連の騒動。本書によると、こうした右派に対する左派のゼロ・トレランス、あるいはキャンセル・カルチャーの淵源は、フランクフルト学派のマルクーゼに由来するらしい。素朴な感想としては、右にしろ左にしろ声のデカい奴は怖いなー、と。中庸の美徳って、どこに消えたのか。ただ著者自身は少し右寄りのようで、トランプ前大統領を高く買ってるのは共感できない。2022/01/22




