内容説明
元編集者の猫沢二胡(ねこさわ にこ)は最愛の夫を喪い、仕事をなくし、閑古鳥の鳴く実家の文具店で店番をしつつ一人暮らしをしている。
そんな折、突然甥っ子である大学生の明澄(あすみ)が訪ねてきた。シングルマザーの母の結婚をきっかけに家を出ると言う。
二胡はとっさに同居を提案し、不思議なふたり暮らしが始まった。
静かな日々に明澄が加わり、文具店のわけありなお客様たちとの交流もあり、なぜか猫もやってくる。空虚だった二胡の日常はいつしか賑やかになり、ある目標もできて――
借りぐらしから居場所が見つかる、あたたかい日常の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
37
最愛の夫を喪い、仕事や終の棲家もなくし、実家の文具店で店番をしつつ一人暮らしをする元編集者の猫沢二胡。訪ねてきた甥っ子の大学生の明澄と不思議なふたり暮らしが始まる物語。シングルマザーの母の結婚をきっかけに家を出るという明澄に対して、とっさに同居を提案して始まった日々。静かだった日々に明澄が加わり、文具店のわけありなお客様たちとの交流もあって、悪天候のたびになぜかやってくる猫に振り回されたりもして、周囲との関わりが増えていくことで、その世界が少しずつ変わっていく何気ない日々の描写がとても素敵な物語でしたね。2024/10/16
Karl Heintz Schneider
35
経堂駅から10分ほど歩いた住宅街のど真ん中に、ひっそりと佇む猫沢文具店。店番をすることを条件に実家であるこの店に越してきた30歳の猫沢二胡。夫を亡くし、仕事も失くし、住む家も追い出された彼女は希望もなく、ただぼんやりと暮らしていた。そこへ甥っ子の大学生明澄が転がり込んできて。ワケアリな客たちや、時々やってくる猫。戸惑いながらも彼らとの触れ合いを通して二胡は徐々に人生を取り戻してゆく。2024/12/18
冬野
13
初読み作者さんの日常もの。こういう、人生の休み時間で次へ向かう気力を養う的な内容って何ていうジャンルなんだろ?生きてると色々あるけどそれでも生きてかなきゃいけないし悪いことばかりじゃないよね、とまとめると陳腐になるなあ。派手な出来事はなくて癒されるともまた違う、じんわりとした良さ。二胡が考えのしっかりした大人なので安心感がある。猫に慣れてない人のあたふたする様が意外でなんだか可笑しかった。借りぐらしは仮ぐらしでもあるのかな。恋愛抜きの普通の人間関係を作品に仕上げられる作家さんは無条件で尊敬する。星:4/52024/10/22
マカ
11
特別大きなことが起こるわけではないけど、二胡の先輩や突然一緒に住むことになった甥の明澄、そして文具店に訪れる人々たちと関わっていくことで、少しずつ二胡の日常に変化が出てくるのが良かった。ただ文具も猫も薄めだったのが残念。二胡は疑問に思ってたようだけど、猫系文具は絶対置いた方がいいと思う。飼うことにした猫の名前が気になるので続きが読みたい。あと裏表紙に明澄(あすみ)、本文では明澄(あずみ)と書いてあったので、本当はどっちなんだろうと気になった。2025/12/25
えむむ
10
淡々と進んで淡々と終わった。読みやすい。この先もがんばってね2024/12/11




