内容説明
明治44年(1911年)、警視庁は大改革を行い、日本初の鑑識課を設置。世界でも早期に科学捜査の一つ「指紋捜査」を開始した。それまでの刑事捜査は、江戸時代の「岡っ引き方式」を引き継いで個人による手柄競争が奨励され、検挙率は3割を超えない低さだったのだ。本庁捜査係の虎里武蔵は、「眼力でピストル強盗を逮捕した男」として名を馳せ、板橋署から引き抜かれた優秀な刑事。その武蔵が非番の日に電報で呼び出される。東京府西多摩郡の山村で6歳の少女の死体が見つかったのだ。武蔵は麹町の下宿から青梅町に向かい、山中の遺体遺棄現場に臨場した。現場では円匙(スコップ)が見つかり、早速新たな科学捜査として、指紋が採取される。驚いたことにその指紋は少女の父親のものと一致し、最重要容疑者に浮かび上がる。だが武蔵は、犯行動機に疑問を感じて……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
93
警察の事件ものですが時代が大正初期ということになっています。主人公は生一本のまじめな感じの若手刑事ですがそれなりに実績を上げてきて本部に所属しています。東京青梅で少女絞殺事件が起きます。そこで所轄と本部の対立があってそれぞれに事件を追うことになります。やはり時代性があり今の刑事ものになれた私には調査などの方法などまどろっこしさを感じます。事件は解決するもの主人公は納得せず自分で事件を調べていきます。ここからが本筋のような感じで進んでいきます。2025/08/01
えみ
45
失ってはいけない執念、犯罪を憎み不正を許さない正義の人。虎里武蔵、どんなに不利でも逆境に立ち向う闘志と志が彼こそ本物の刑事だと証明している。諦めない犯人のふてぶてしさと諦めない刑事のしぶとさの持久戦。6歳少女殺害事件×「指紋捜査」の結末は…。大正時代の警察で横行する荒ぶる暴力と、その隣で血の沸き立つ捜査を行う警察。どちらも時代を映し出し興味深かった。今でも事件現場で採取された指紋は重要度の高い証拠。武蔵は事件解決を左右する指紋に関して疑問点と信頼度を瞬時に見極め、証拠に振り回されない刑事の鑑の男だった。2025/07/16
☆Ruy
11
明治から大正の科学捜査過渡期の事件簿。主人公の虎里武蔵は夏目漱石の坊っちゃんみたいな人。1件の少女殺害事件が大きな事件に。大正時代の警察の三種の神器はもはや冤罪メーカー。今流行りの決めつけ刑事そのもの。虎里は鋭い刑事だけどなんか要領悪い。後半そのせいでちょっとイライラ。他の作家さんの本でも変態について学ぶ主人公のがあったけれど、この時代の変態の意味が今の変態とはちょっと違う。 立川が出てきて、気分が盛り上がってあっという間に読み終わってしまった。作品内に地元が出ると嬉しくなってしまう。2025/02/17
紅羽
6
舞台は明治十四年。都内で発生した連続幼女殺害事件を解決に導くべく、最新の捜査「指紋捜査」を武器に虎里武蔵刑事が挑むミステリ作品。撹乱されるように犯人の目星が二転三転し、最後の最後まで気を抜けない展開が面白かったです。2024/10/09
オオイ
5
大正 2年 西多摩で少女殺害事件を追う若手刑事、連続事件として調べるも各種の問題をへて真実へ、ま~暇つぶしにはなった。2025/01/14
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