ノベルズ・エクスプレス わたしと話したくないあの子

著者名：朝比奈蓉子【作】/双森文【イラスト】

ポプラ社（2024/09発売）

• ISBN：9784591183052

内容説明

３年生の時に転校してしまった親友のわかなが、６年になって戻ってきた。早紀はまた仲良くできると思ったのに、わかなに「あのころの自分とは違う。わたしと関わらないでほしい」と言われショックを受ける。しかしある日、わかなの母が倒れ、わかなは早紀に助けを求める。すっかり貧しく変わっていたわかなの家の様子を、つい見まわしてしまった早紀に、わかなは傷つく。友だちとは何か？　迷いながら助け合う女の子たちの物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[☆よいこ]

児童書。YA。引っ越して遠くへ行った親友が6年生で帰ってきた。早紀は大喜びでわかなに話しかけるが、わかなは「わたしにかかわらないでほしい」と言う。両親の離婚で貧しくなりいじめにあって傷ついたわかなは、すっかり心を閉ざしていた「友だちってなんだと思う？」▽環境の変化はあるもので、子どもは大人の都合に振り回される。けれども下を向く必要はなくて、子どもは周りの親切を受け取る権利がある。感謝するなら次の親切につなげればいい▽子どもの悩みもあるけれど、しっかりした大人が出てくるお話で良かったです。良本2024.9刊

2024/11/08

[ひめか*]

小学生の繊細な心の揺れが描かれて当時を思い出した。3年生の時仲良かったのに転校してしまい、6年生になって戻ってきた友達。また仲良くできると思ったのに、相手の態度はそっけない。それは家庭の事情だった。環境が変わると、友達と仲良くしづらくなって、心を貧乏の縄で縛ってしまう、関わらないでほしいって思ってしまうわかなの気持ちもわかる。小学生の頃ってこういう友達との些細な心のズレがよくあるけど、大人になってもそれは例外じゃないと思う。家庭環境変わっても友達でいることには変わらないって気持ちを確かめ合えて良かった。

2024/12/15

[雪丸 風人]

友だち関係に悩む少女たちの物語。主人公は小学６年生の少女です。かつての親友が転校生として戻ってきた喜びは、相手の信じがたい振る舞いで戸惑いに変わっていきます。何が二人の関係を変えたのか？トラブルの末に彼女が知ったのは、思いもよらぬ事の真相でした。貧困からくる差別や、劣等感の根の深さが身に沁みました。やはり、大人の事情のせいで子どもに大変な思いをさせてはいけないですね。できる人ができるときに誰かを助ける。助けられた人はいつか誰かの力になればいい。そんな理念に胸を打たれましたよ。（対象年齢は11歳以上かな？）

2024/09/07

[kolion]

子どもの貧困をテーマにした児童文学。かつては仲の良かった友だちわかなとの再会に喜ぶ早紀は目も合わせないわかなの態度に違和感を覚える。次第にあきらかになるわかなの現状に胸を痛め力になりたいと思うのだが。貧困者を弱者だと決めつけている印象を受けた。イジメにあっても何も言い返せないわかな、熱中症で倒れるのもわかなの母親、理屈としてはあるあるだがわかなに助けられるシーンがあっても良かったのでは。聡明で利発な早紀の優位性ばかりが強調されて感じた。一点の曇りもない早紀の家庭にも違和感を覚えた。

2024/09/12

[Mayuko Kamiwada]

昔、仲の良かった友達。再び会い、かつての頃のように話そうとしたけれど「もう私と関わらないで」の一言。何があったのか理由を聞きたいけれど、踏み込めないでいる早紀。また前のように仲良くすることができるのか。生活の苦しさで心の余裕は変わってくると思う。どんなに仲のいい友達でも自分の家での生活は踏み込まれたくない人も多いのではないだろうか。助けてあげたいと思っても、どこまで手助けができるなんて分からない。その事実を知っているのと知らないとでおそらく今までと一緒にはいられなくなるだろうと思った。

2024/09/30