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内容説明
人間の生活に多大な便宜をもたらした化学薬品の乱用によって、自然が破壊され、当の人間をも蝕んでいくその恐ろしさを詳細に調査し、告発した海洋生物学者レイチェル・カーソンの代表作。当時はあまり知られていなかった残留農薬の問題や、食物連鎖による生物濃縮(生体濃縮)がもたらす生態系への影響を公にし、社会に大きな影響を与えた。歴史を変えた世紀のベストセラーを正確で読みやすい訳文と文献リスト付きの完全版で贈る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
nobi
56
浸透性殺虫剤やヒ素系除草剤などの大量散布が行われていた1950年代。ニレの木への殺虫剤散布がコマツグミの囀りを聞けなくし、ブタクサ駆除一年後にブタクサが繁茂するといった当時の事例を次々と示されると、彼女の暗澹たる気持ちが乗り移ってくるよう。自然を愛するが故にその異変の重大さにいち早く気づき、進化をテーマとする予定を変更してまで事態の調査に邁進し、果敢に問題提起してゆく。濃縮、浸透、食物連鎖といった自然の連関に関する名講義を受け続けるよう。科学的アプローチの中に、それぞれの生き物たちの姿が目に浮かんでくる。2024/10/31
ホシ
15
科学読み物の古典的名著。初春を寿ぐ日に読み終えたのも何やら意味深いものを感じます。アメリカはおろか全世界に自然保護、環境保全の概念を広め定着させた本書の功績はあまりにも大きいです。関連業界からの批判を覚悟の上で化学物質が生態系に与える影響を世に問い、警鐘を鳴らした女史の熱意には素直に敬意の念を抱かざるをえません。現在は50~60年代のような無頓着な化学薬品の使用は少ないでしょうが、放射性物質やプラスチックを我々は如何に扱うべきか?現在においてもなお本書は多くの示唆をもたらしてくれるような気がします。2026/01/01
plum
3
『ザリガニの鳴くところ』の湿地帯のイメージを思い出しながら読んだ。1940年代に殺虫剤(DDTジクロロジフェニルトリクロロエタン)の登場と抵抗性獲得。安価で毒性が強い殺虫剤アルドリン空中散布でマメコガネJapanese beetleを撲滅しようとするが,それがせめぎあいの昆虫社会を破壊してしまう。大勢の人たちになんの相談もなしに,害虫のいない世界こそが最高……と決断を下したのは誰なのかp194。がん誘発物質(>治療薬)予防策へのシフトを。2025/08/22
yo_c1973111
3
これまで読了した自然科学系の書籍に幾度となく参照されていた本書をようやく読みました。オリジナルの上梓は1962年です。過去に斯様な読み物としての告発があり、農薬制限が行われたトリガーなるものに触れる価値はあったと思いました。現代では、本書も起点とし化学物質の制限が施行されており食物、自然サイクルへの配慮はなされているものと思います。歴史とは人類の自惚れの記録であり(現代も自惚れている)、表面的な理性を振り子の一方へ振り上げた本書を経験したことは、個人的に意味あるものと思いました。2024/11/27
nightowl
2
農薬散布より自然の細菌や問題となるものの捕食者を増やす食物連鎖の方法で害を減らせるのでは?という提示。情報源は確かな反面、〜だろうか/〜ではないのかの多用で言い切りが少ないことにより主観が強めと感じてしまう問題。追い込まれたかのような文章(背景を知り納得)が持つ力に圧倒されながら読み終える。2025/02/10




