内容説明
昭和中期の週刊誌創刊ブームの中、トップ屋(巻頭記事を担当するフリージャーナリスト)として活躍した著者は、1962年に話題となった経済小説『黒の試走車』以来、多種多様なジャンルの小説やルポルタージュを発表し人気作家となる。本書は、1960年代後半から文芸誌に発表されたサスペンス、犯罪ものを日下三蔵の編集で贈るオリジナル作品集。愛とエロスと欲望の中で繰り広げられる“復讐”の物語。
目次
海の殺戮/有閑マダムと少年/甘美な誘拐/犯罪日誌/腐爛死体の場合は/名士劇殺人事件/四本目の鍵/失脚のカルテ/湖底の賭/編者解説 日下三蔵
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みつ
18
たまたま図書館で見つけた本。ちくま文庫はこうした作家まで加えているのかと興味を持ち手にとった次第。高度経済成長の15年ほどの作家活動の間に多くの作を発表した当時の流行作家(1975年、45歳で没)。当時は男性優位でセクハラ、パワハラも当然の社会であったということか、その前提のもとで展開する物語は、小さな世界で権力者として振舞う者への復讐譚が多いがどれも爽快感は少ない。これよりも時代がさらに遡る獅子文六の諸作は、たとえ差別的表現が含まれていても楽しく読めるから、作風との相性が悪いという他はない。2024/10/29
りんだりん
16
昭和のドロドロ感満載の「色」と「金」をめぐる復讐をモチーフしたミステリ短篇集。 なんというか、ひとことで言うと「ゲスい」(笑)。だがそれがいい! どの短篇も読んでいくと途中から、いや、かなり最初の方で結末は見えるんだけど、それでもグイグイ読ませる力がある。すごい。エロい。昭和の力を感じる作品。★32024/05/14
Inzaghico (Etsuko Oshita)
6
玉手箱を開けたら昭和40年代が続々と飛び出してきた。今より公務員や会社役員が組織の威光を笠に着ていた時代だ。彼らは今の同じ役職の人物よりも、若いことも多いし、よほどいいご身分である。そんな彼らが、秘密を暴かれたり、ちょっとしたことから安泰の地位と平穏な暮らしががたがたと崩れ落ちたりする。こういうところを描くのが梶山はうまい。 当時は男に依存する生き方が圧倒的に多かったため、女の恨み妬み嫉みも、とくに男女関係はどろどろしていて、それに絡んでの犯罪は多かった。今だとさっさと見切りをつけて前に進むんだろうな。2024/04/30
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