内容説明
著者は公園のテントに20年以上暮らし、ほかのホームレスたちと共に生きる場をつくりながら、ジェントリフィケーションやフェミニズム、貧困などをめぐる活動をしてきた。本書では、公園や路上での生活や、ほかのホームレス女性たちとの営み、街の再開発とホームレスの追い出しなどを伝え、現代社会の風景の中の「見えているのに見えないことにされているもの」「隠されているもの」「消されたもの」について、読者に語りかける。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
82
シリーズ「あいだで考える」の1冊。著者は、2003年から東京都内の公園のブルーテント村に住み、仲間と共に物々交換カフェ「エノアール」、ホームレス女性のグループ「ノラ」を主宰し活動するいちむらみさこさん。多くの人にとってホームレスには「なりたくない」と思うのがふつうだ。ホームレスがどんな生活をしているのか、想像はできても、見えるはずのホームレスを目の前にして、無関心に素通りしていく。→2025/01/10
こばまり
35
『小山さんノート』に続いて新鮮な視点を与えてくれる一冊だ。筆者は同ノートワークショップにも関わっていた方。渇望の下に自らホームレスになることを選ぶ人もいる。そもそもホーム・レスなのか。流行りの「多様性」から弾き出されてしまう人々もいることに思いを致す。2025/04/10
鷺@みんさー
30
「ホームレス」のステレオタイプに一石を投じる、女性でテント村生活者の作者。ホームレスになる理由は人それぞれだが、彼女は幼い頃から理不尽な「権威・体制」に巻かれることを良しとせず、過酷な競争社会で機械の部品のように賃金労働にあくせくし、家賃のために食事を削り、「働くことが善」「生活苦は自己責任」の論調に窒息しそうになって、テント村に来た。大変だがあの頃よりずっと豊かな暮らし、と彼女は言う。貨幣のない物々交換の場、女性ホームレスの会、誰かが襲撃されたら皆で孤独にさせないように駆けつけること。2025/05/16
はち
16
ほのぼのする本かと思ったら大間違い。ホームレス生活20年の彼女が伝えたいことの半分以上私は理解できていないだろう。女性の性被害や、一般人からの襲撃、公園からの追い出しのことなどが述べられており、一旦行政が勧めるアパートなどを利用したら?と思うのだが、それは違うのだと、、じゃあ、何を望んでいるの?どうしたいの?と私はイラついた気持ちにもなった。きっともっと奥深い、軽蔑や憎悪をなくして個人の存在や価値を尊重してほしい。自由な生き方を認めてほしいということなのかもしれない。歩み寄ることを拒まれると難しいよなぁ。2024/12/10
kuukazoo
14
ホームレスとして暮らす理由は様々でそれは他人がジャッジできることではないし、差別や暴力は勿論あってはならないし、再開発やジェントリケーションによる排除は腹立つけど、福祉(行政による管理)を退けてその生活に固着する(一部の)人の意思が社会的にどこまで尊重されうるのかは正直分からない。どこまでも矛盾をはらむ問題な気がする。公園というパブリックな場で生活というプライベートな営みを行うこと、資本主義を批判しつつも利用しなければ成立しないライフスタイルであること、囲い込まれることからどこまで逃れ続けられるのか、など2024/11/24
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