集英社文庫<br> 波の上のキネマ

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集英社文庫
波の上のキネマ

  • 著者名:増山実【著】
  • 価格 ¥891(本体¥810)
  • 集英社(2024/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087442021

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内容説明

尼崎に祖父が創業した小さな映画館「波の上キネマ」を継ぐ安室俊介。座席数100余りの小さな映画館は、収益を上げることは年々難しくなっており、ついに新聞に「年内に閉館する見通し」との記事が出てしまう。そんなある日、創業者である祖父の名前を出した問い合わせが入る。それがきっかけとなり、祖父の前半生に興味を持った俊介は南へ向かう。祖父は脱出不可能な絶海の島で苛酷な労働を強いられていたが、そこにはジャングルの中に映画館があったという。祖父はなぜその島に行ったのか。なぜ映画館があったのか。運命に抗う祖父が見たものは……。壮大なスケールで描く驚嘆と希望の長編小説。

目次

第1章 七人の侍
第2章 タクシードライバー
第3章 君の名は
第4章 ストレンジャー・ザン・パラダイス
第5章 伊豆の踊子
第6章 渦
第7章 野生の蘭
第8章 夜
第9章 冷血
第10章 街の灯
第11章 帰らざる河
第12章 226
第13章 CITY LIGHTS
第14章 SHALL WE DANCE
第15章 執念の毒蛇
第16章 雨
第17章 或る女
第18章 大いなる幻影
第19章 山猫
第20章 椿姫
第21章 道
終章 ジャングル・キネマ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モルク

80
祖父が始めた尼崎の映画館「波の上キネマ」、3代目俊介は閉館を決意するが、その前になぜ祖父が映画館を作ったのか知りたいと思い祖父の半生を追う。シネコンの台頭、デジタル化などの設備投資が高額であることにより以前は町に溢れていた映画館がどんどん減っている。その再生の話かと思ったが、とんでもなく大きなスケールだった。生活に困っていた祖父(青年)が騙されて西表島の炭鉱で悲惨極まりない作業をする。そのジャングルの中に映画館が…なぜ?どのように…言葉に言い表せないほどの感動。古い映画をじっくり見たくなった。2025/03/10

里愛乍

62
映画館で観る映画が好きだ。話題作をシネコンで観るのもいいけど、お気に入りの映画館でふらりと立ち寄って出会うのもいい。柄本のじいさんが語る世代を微ながら覚えているからだろうか、懐かしさに込み上げてくるものがある。だけど本作はそんなノスタルジーに浸ってるだけではすまなかった。こんな過酷な労働?があろうかと凄まじさに息を呑むばかりである。そんな人間の感覚すら失う毎日に感情を取り戻してくれたのは音楽であり映画だった。人間の生活に何が大切か、切り離してはいけないか、このご時世に改めて考えさせてくれたと思う。2023/01/08

トラキチ

38
再読。増山さんの作品は歴史を追体験出来ます。本作では閉館を決めている尼崎の単館系の映画館のオーナーが、あるきっかけから映画館をオープンさせた祖父のことを遡ります。そこで一筋縄でない祖父の経験を知ることとなりますが、読者も然りですね。舞台は西表島、石炭発掘のために過酷な強制労働が描かれます。作中の言葉を借りれば、多くの人が日本の近代化の犠牲となります。参考文献も多く、実話を元にして作られてるので感慨深さはより深いです。それと、各章映画のタイトル名がつけられていて、作者の映画に対する造詣深さが伺い知れます。2023/07/17

Walhalla

34
尼崎市の立花にある小さな映画館をめぐって物語が始まります。フィルムを映写する方式だったものがデジタル化され、設備費を工面できない個人経営の多くの映画館が廃業に追い込まれていきます。序盤はそんなストーリーでしたが、中盤に差し掛かるあたりから、舞台は戦前の西表炭鉱へとガラッと移りますので、ちょっと驚きですね。祖父が映画館をはじめたのは、日本の近代化の犠牲とも言える、この過酷な炭鉱での生活が一つのきっかけになっていたようで、とても感慨深いです。増山実さんの作品内で描かれる史実は、勉強になります。2024/07/09

JUN

24
友人にもらった本。西表島の炭鉱の話。実際に、こんな悲惨で過酷な牢獄のような場所があったんだろうな。2023/02/10

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