内容説明
「マザリング」とは性別を超え、ケアが必要な者に手を差しのべること――。産後うつに陥った人、流産を経験した人、産まないと決めた人、養子を迎えた人……。気鋭の映像作家が、自身の妊娠出産を端緒に、あらゆる弱者を不可視化するこの現代社会を問い直す。記録されてこなかった妊娠出産期の経験をすくいあげ、いまを生きる人々の声から、ケアをめぐる普遍的思考を紡ぐ。イケムラレイコ、イ・ラン、寺尾紗穂、ドミニク・チェンらへの取材も収録。社会に埋もれる「声なき声」に耳を傾け、手垢にまみれた「母」という概念を解きほぐし、未来へと繋ぐ圧巻のルポルタージュ・エッセイ!
目次
まえがき
第一章 言葉を失った私と、あなたへの私信
第二章 女たちの館の孤独
第三章 少女たちの変身
第四章 無縁としての女性たち
第五章 失われた子どもたち
第六章 母の彼岸性
第七章 脱コルセット
第八章 養子――たくさんの手のなかで
第九章 父から見たマザリング
第十章 虚無としての母
第十一章 私たちの母へ
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
りんご1つ
2
読みながら最初の方に書かれていた、産後の虚無の感覚や孤絶感を私も思い出した。子どもに限らず、ぬれたぬるぬる、効率的ではないもの、なんだか分からないもの(病や生きづらさを含む)を抱えながら、合理的な管理されたこの社会で生きる苦しさを思い、深く心揺さぶられる。 マザリングとは、子を産んだ女性だけのものではない。老若男女、他者をケアする言動の中にあるもの。 章が進むにつれ、ためらいつつもだんだんと祐子さんのお母さんのこと、思い出が開示され、考察が深まっていくのが、胸に迫った。きっと再読します。2025/04/04
kyon0517
1
読書前後で自分の考え方が変化した。 フェミニズムに触れるようになって母親を“役割”として捉えることが多くなり、つまりそれは母親の“社会的な役割”の話をずっとしていた。ここ最近は言ってしまえば母は代替可能なものという視点だったように思う。 でもこの本は妊娠から出産その後の時間も含めて、そこには母だからこそ経験したと言える時間と感情と感触とがあることを思い出させてくれた。 特に1人目の時の混沌とした時間もっと書き記しておけばよかった。 あと自分が受けたセクハラの経験に対する自責してしまう考えにとても共感した。2025/02/18
Ema
0
イランさんのお話までは、性別を超えたと謳いながらシスジェンダーヘテロ女性よりの論考で、結構読み進めるのきついな〜と思う部分があったが、イランさんのお話を読んで、やっと自分の方に引き寄せられたというか、納得できた部分があった。それでも、出産妊娠の際の母という存在の聖母化に抗っているようにみえて、実は違う意味で神格化している部分もあるのではないか、と思う部分は多々あった。自分自身体験したことがない事柄なので、どうやって語るのが1番良い形なのかは自分でも見えてこないけれど。2024/08/25




