内容説明
「神」とまで呼ばれた天才少女はなぜ、自身の手がける舞台の上演中に死んだのか?
演劇女子学校に入学した結城さやかは、劇作家を目指している。同学年には同じく劇作家志望で、学内一の天才と謳われる設楽了がいた。了は俳優の能力を引き出し、観客を魅了する舞台を作り上げる卓越した才能をもっていた。了の手がける舞台に上がりたい、了に認められたいと俳優志望の生徒達はこぞって渇望する。次第に周囲から「神」とまで崇められた了は、横暴な振る舞いをしても良い舞台を作るためだと許された。しかしそんな了は突然、自分の手がける演劇の上演中に舞台から転落死する。不幸な事故だと片づけられたが、翌年の春に入学してきた新入生・藤代貴水は全校生徒の前で高らかに宣言した。「わたしは、設楽了の死の真相を調べに来ました」――さやかは貴水に巻き込まれる形で、了と生前の関わりのあった生徒を調べることになり・・・・・・演劇を愛する生徒達が内に潜んだ「殺人者」を暴き出す、眩く鮮烈な学園ミステリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
277
降田 天、4作目です。前半戦は、サスペリア的な展開かとワクワクしながら読んだのですが・・・ 結果としては、不完全燃焼でした。 https://fr.futabasha.co.jp/special/girl_macbeth/2024/10/10
パトラッシュ
276
優れた才能は目も眩む高みに達する反面、人の醜悪さをもさらけ出す。演劇に全情熱を傾注するハイティーンの少女たちを集めた学校とは、この両面を知るために存在するようなものだ。最高の芝居を創造するためなら悪魔に魂を売るのも容認された場では、至高の芸術を求める人は許されざる悪をも許容してしまう。神の如き天才と崇められた設楽了の死の謎を探る貴水とさやかの探偵行は、マクベスを誘惑して野心に破滅させた魔女は誰かを探っていく。その魔女すら演劇の毒に魅せられ罪の沼にはまっていく姿は、人の業を描くミステリが見事に成立している。2024/09/20
ALATA
210
演劇女子高校で一人の天才劇作家が上演中に転落死した。事故死か?殺されたのではないか?奇妙な新入生が謎ときに奔る。なぜか某音楽学校のようないじめ、嫉妬渦巻く舞台設定が不協和音を奏でていて興味深い。三人の魔女が許されざる手段を使って生かされた。「だってマクベスは殺人者だから・・・」それにしても一本のボールペンが世界を変える、この物語は切ないです★3※見えるものが見えない。キラキラネームに溢れた登場人物の儚い情熱が感じられた。2025/01/22
hirokun
149
★3 演劇を舞台にした作品で、私はマクベスも読んだことがなく少し躊躇しながら読み始めた。前半部分は淡々としたストーリー展開で、冗長な感じがしながら読み進めたが、途中から一気に気合が入り、最後のページまで読み進めた。推理小説のスタイルをとっているが、読み処は青春女子学生たちの揺れ動く感情と本心を隠しながらまるで劇中の役者たちのように装う姿。女子学生の内面に潜む承認欲求をうまく表現した作品に仕上がっていると思う。2024/09/23
hiace9000
137
シェイクスピア戯曲『マクベス』へのオマージュ感あふれる演劇ミステリー。最後まで”結末を読ませる”ことを阻止する練りに練られた構成、そして伏線疲れさせるギリギリまで敷き詰めた幾重もの伏線。アッと驚く結末もまた舞台装置か。演劇に夢を、あるいは救いを求めた少女たちが通う百花演劇学校。神とも称された天才劇作家・了が上演中に不可解な転落死。事故か事件か、それとも―。丁度9月末に読了した岩井さん『舞台には誰もいない』。同じジャンルながらまったく異なるアプローチで、誰かを演じて生きることを決めた演劇人の「業」を描く。2024/10/10
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