九月はもっとも残酷な月

個数:1
紙書籍版価格
¥1,980
  • 電子書籍

九月はもっとも残酷な月

  • ISBN:9784907364366

ファイル: /

内容説明

加害の記憶を忘れ成功体験ばかりを歴史に残すのなら、同じ過ちをまた繰り返す

映画「福田村事件」監督の最新時評集。関東大震災後に起きた朝鮮人虐殺を見つめ、ウクライナやガザに煩悶する。「〈僕〉や〈私〉の一人称が、〈我々〉〈国家〉などの大きな主語に置き換わるとき、人や優しいままで限りなく残虐になれる」と著者は言う。映画公開前後の日々から独自の映像創作論、初めて福田村事件をとりあげた伝説のエッセー「ただこの事実を直視しよう」も収録。その他、入管法やイスラエル・パレスチナ問題、東アジア反日武装戦線など、時事ニュースの奥に潜む社会の核心に食らいつく。

【著者】
森達也
1956年広島県生まれ。映画監督・作家。98年、ドキュメンタリー映画『A』を公開。2001年、続編『A2』で山形国際ドキュメンタリー映画祭特別賞・市民賞。2023年、劇映画『福田村事件』で釜山国際映画祭ニューカレンツ賞を受賞。著書に『放送禁止歌』『死刑』『A3』(講談社ノンフィクション賞)、『いのちの食べかた』『フェイクニュースがあふれる世界に生きる君たちへ』『ぼくらの時代の罪と罰』『千代田区一番一号のラビリンス』『虐殺のスイッチ』他多数。

目次

Ⅰ 忘れられた加害と想像力
ただこの事実を直視しよう
大量虐殺のメカニズム
映画は観た人のものになる
表現は引き算だ
高野山の夜
忘れられた加害
反日映画の条件
一年ぶりの釜山
オウム以降と親鸞
北京国際映画祭
Ⅱ リアリティとフィクションの狭間で
嫌な奴だと思っていたら嫌な奴に編集できる
天皇小説
テレビに場外ホームランはいらない
「テロ」の定義
三人の兵士たち
『オッペンハイマー』は観るに値しない映画なのか
Ⅲ ニュースは消えても現実は続く
事件翌日の夜に
危機管理に目を奪われて転倒
世論とメディアの相互作用 入管法改正前夜
ピースボートは社会の縮図だ
イスラエル・パレスチナ問題を考える
すぐに消える大ニュース コロナから裏金まで
世界はグラデーションだ
地下鉄サリン事件は終わっていない
パレスチナと愛国心
Ⅳ 無限の自分を想像すると少しだけ楽になる
くすぶり続けるもの 『いちご白書』
平壌から
自由か安全か
多世界を思う
死刑囚になった夢の話
修業時代
ティッピング・ポイント
北朝鮮ミサイル発射!
桐島、活動やめたってよ
ゴッド・ブレス・アメリカ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ののまる

10
森建也さんのあちこちに書かれたエッセイ。主張が一貫してる。連合赤軍の話が、マスコミと全然違うので、まったく日本のジャーナリズムは腐ってるな(森さん流に言えば、日本国民の民度も同じ程度ってことになるが)。2025/03/28

大泉宗一郎

5
関東大震災の朝鮮人虐殺。千葉地方の自警団から方言を朝鮮語と誤認されて日本人9名(子供・妊婦含む)が虐殺されたメカニズムを映画化した『福田村事件』監督・森達也による随筆集。ドキュメンタリー一筋だった著者による初の劇映画公開に際した生々しい心境のほか、過剰防衛によって殺戮へと至る作中の自警、同様の意識によって戦争へと至る過程とイスラエルとパレスチナへの考察や、映画『オッペンハイマー』評など、物事の多面性を重視する著者の姿勢には相違する意見もあるなかでも共鳴する部分が多く、時間をおいて著者の本を読み返す。2025/02/10

あきこ

3
森達也は怒っている。本書は作者がこれまでに発表した文章をまとめたもの。だから話題は様々だ。しかも最近のものが多い。森さんの文章を読むといつも思うのは、「怒ってくれてありがとう。」だ。世の中にちゃんと真っ当なことをいう人は少ない。なぜなら「A」のときの森さんになってしまうからだ。だからこそ森さんの本は読む。自分に新しい視点と気づきをもらっているのだ。「福田村」観れば良かったな、なんだか怖くて見られなかった。ちゃんと知るって大事なことなのに。2024/11/12

活字@れつだん先生

2
何十年もずっと同じことしか書いてない。それだけ主義主張が変わらないということだろうが、毎度毎度読んでる身からすると、もういいよそれ聞き飽きたわ、となる。2025/02/16

のせなーだ

1
非戦の国で国民の安心安全には無関心、不安を駆り立て軍事力大国化、戦争への突破口を求める。過去の戦争犯罪の隠蔽否定、反省のないものは繰り返す。必要なのは自然災害に破壊され続けるこの国の防災減災、インフラ整備、衣食住安定と教育、当たり前の日常の安定だ。安心安全の理解なくして非常時有事を強調し「国民の安心安全」を語り不安を煽る政府。大の大人がUSA,USAと連呼しトランプ大統領を支持し自国優先の暴力、それに追従するような空気、危ない危ない人災、不安に振り回される群衆の狭量さ。Stop イスラエル、何よりアメリカ2025/03/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22067116
  • ご注意事項