ザトウムシ - ところ変われば姿が変わる森の隠遁者

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ザトウムシ - ところ変われば姿が変わる森の隠遁者

  • 著者名:鶴崎展巨
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 築地書館(2024/08発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784806716679

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内容説明

森で見かける、クモのようでクモでない脚長の生き物、ザトウムシ。

乾燥に弱く移動力が低いため、山や川を越えるだけで、
同じ種でも体の色や形,染色体の数などに違いが生まれる。
単為生殖をしたり,雄が子を守ったりする種類も。

そんな不思議な生き物、ザトウムシの研究に50年を捧げた
世界的なザトウムシの権威による、ザトウムシの本。

目次

はじめに

第1章 ザトウムシとは
1 体のつくり(クモとはどこが違うか)
【コラム1】 ザトウムシという名前の由来
2 4つの亜目と各科の特徴
【コラム2】 スベザトウムシ亜科とフシザトウムシ亜科
【コラム3】 フシザトウムシ亜科分類の問題点
3 古生代から脚は長いまま

第2章 1年をどのように過ごすか
1 越冬方法
2 幼体と成体の区別
【コラム4】 雌が早熟
3 捕食者だが広い餌メニュー
【コラム5】 ザトウムシのウンチ
4 どのように呼吸するか
5 室内での飼い方
【コラム6】 飼育のあれこれ
6 ザトウムシを捕食する動物と寄生者
7 雌雄の区別
8 XY型とZW型が混在する性染色体
9 交尾は向かい合わせで
10 交尾時に雄から雌へプレゼント
11 交尾後に雌を守る雄
12 産雌単為生殖と地理的単為生殖
【コラム7】 ヒラスベザトウムシとタマヒゲザトウムシの産雌単為生殖
【コラム8】 タマヒゲザトウムシとヒラスベザトウムシは4倍体
【コラム9】 異常な高率で出現するザトウムシの雌雄モザイク
【コラム10】 性の進化の問題は解けていない
13 雄だけにある2タイプ
14 動物では希有な保父行動
【コラム11】 アキヤマアカザトウムシ(トゲアカザトウムシ科)の不思議
15 集合性(ヒトハリザトウムシ)

第3章 地理的変異と分布
1 種をどのように認識するか
【コラム12】 DNAと染色体と遺伝子
【コラム13】 DNA情報と分類
【コラム14】 地理的変異のパターンと亜種
2 外部形態の地理的変異と交雑帯(ゴホンヤリザトウムシ)
3 交尾器も地理的に変異する(ヒライワスベザトウムシ)
4 寒冷地で小型化・短脚化(逆ベルクマン則)
5 ミュラー型擬態?(ヒコナミザトウムシ・オオナミザトウムシ・アカサビザトウムシ)
6 種内で変わる染色体数
【コラム15】 染色体の数の変異と生殖隔離の関係
7 染色体交雑帯
8 B染色体(ヒトハリザトウムシ)
【コラム16】 ザトウムシで染色体が多様になる理由
9 いっしょに住めない近縁2種
10 形質置換
11 中国地方で地理的分化が集中するのはどこか(区系生物地理学)
12 隔離分布(東アジア・北米東部型、東アジア・北米西部型、ユーラシア温帯)
13 種数標高関係、種数面積関係・ラポポート則
14 外来種・国内移入種
【コラム17】 火山にいないニセタテヅメザトウムシ科

第4章 日本のザトウムシ研究の開拓者
【コラム18】 私のザトウムシ研究のきっかけ
【コラム19】 国際クモ学会議とザトウムシ研究

第5章 ザトウムシ雑学
1 ザトウムシの地方名
2 文学、マンガ、絵画とザトウムシ

第6章 採集の方法と標本のつくり方
1 採集用具
【コラム20】 大は小を兼ねないシフターのメッシュサイズ
2 標本のソーティング

第7章 日本産ザトウムシ30種のプロフィール

ザトウムシの参考書
おわりに
参考文献
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

FOTD

14
日本産ザトウムシの分類がまだ道半ばで、複雑な地理的変異の全てが論文になってからでないと、図鑑は発行されない。という状況の中でザトウムシ研究の第一人者が、一般向けの入門書という位置付けで書いてくださったのが、この本である。生態に興味があって手に取った本だが、読んでいくうちに染色体に興味を持った。この種は湿度のある森の中で普通に見つかるので、意識して探してみたいと思った。過去に何回か目撃したことがあるので、きっと簡単に見つかるだろうと思う。同定はできないが、次の活動シーズンが楽しみだ。2025/01/12

mft

6
図書館本。ザトウムシの実物を見たことはない(と思う)。同じ種でも染色体数が個体によって違うとか、それでも案外存続していけるとか、生物の柔軟性に驚きを隠せない2025/08/03

🍭

5
485、図書館本、2024年発行。実際にみたことは一度あるかないかのザトウムシ。クモに似ているけれど、食性も生態もかなり違う。内容としてはザトウムシのHow to本ではなく、研究者視点でのザトウムシ研究を一般向けに公表するものに近い。口絵をみているだけでもこの虫の同定が極めて難しいのは想像がつく。倍数体関連の話のところが面白いと思った。種の分かれ目って実地調査で判明するんだね……2024/09/17

ももいろ☆モンゴリラン

3
知らなかった。こんな虫が日本にいて、種類がいっぱいいて(それでも少ないと著者は言う)、多様な染色体を有していて、今まで読んできた生物学のご本の内容が詰め込まれてて(なんとなく)わかることが…! ザトウムシに限らず、生き物好きな子どもたちを野山に誘い出すようなフィールドワーク案内付き、戦前戦後の斯界開拓者たちの歴史も学べて興味深い。2025/03/22

完敗

1
ある晴れた日に自宅の畳に現れた鮮やかな黄緑色の生物。蜘蛛の子にしては脚が長過ぎで一体何者かと思っていたのだが、本書の表紙を見て「こいつの仲間か」と合点がいった。マイナーな生物を扱っているので多くの読者は得られないだろうが、そんなことはどうでもいい。何より著者の学者としての矜持・プロ意識が伝わってくる。そりゃ、ご子息が「東大王」になるわけだ。2025/05/05

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