岩波新書<br> 朝鮮民衆の社会史 - 現代韓国の源流を探る

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岩波新書
朝鮮民衆の社会史 - 現代韓国の源流を探る

  • 著者名:趙景達
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  • 岩波書店(2024/08発売)
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  • ISBN:9784004320302

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内容説明

韓国は儒教国家と称されるが,それは事実の半面に過ぎない.歴史の基底には,道徳を重んじ上昇志向の強いエリート層とは別に,力弱い周辺的存在たちが生きる世界があり,多様な共同体や信仰,祭礼,文化が根づいている.日常と抗争のはざまにある苦楽を交えた生活が社会を動かすエネルギーを生んでいく.その道程を描く.

目次

まえがき
第1章 朝鮮社会の儒教化
1 儒教国家の誕生とその理念
朱子学革命と民衆
統治システムと理念
民衆の儒教化
賑恤と平均
2 儒教社会の現実と両班
儒教的民本主義の現実
両班と科挙
民衆の両班志向
両班文化
両班批判と士の精神
第2章 民衆の生活と文化
1 村と食の文化
朝鮮の村
村の秩序と共同組織
相互扶助の精神
「民人は食を以て天となす」
流民と盗賊
勤倹農民はいたか
2 村の賑わい
村祭と二重文化
正月の祭りと娯楽
労働と農楽
酒幕に集う人々
場市の概況
場市の喧噪
3 民衆の精神世界
正統と異端
巫俗の位相
仏教の位相
道教の位相
迷信と占卜
墓地風水と山訟
第3章 周縁的民衆の世界
1 賤民社会の諸相
賤民とは何か
奴婢という身分
消え行く奴婢
万神に仕える者たち
賤民化する僧侶
芸能民の諸相
仮面劇と唱劇
2 最下賤民白丁の悲哀
起源と由来
白丁と一般民衆
白丁の生活
身分と宿命
3 褓負商の社会
褓負商とは何か
起源と歴史
忠誠・団結・規律
褓負商と一般民衆
第4章 女性のフォークロア
1 宮女と妓生
囚われの宮女
妓生の由来
妓生の社会
官妓存廃論
妓生の格式
2 女性と婚姻
婚姻の風俗
儒教と女性
働く女性
早婚の悲劇
女性の再婚
3 女性の自由と宗教
大らかな女性たち
アジールとしての寺院
女性宗教としての巫俗
閔妃と巫女真霊君
第5章 民衆運動の政治文化
1 不穏の時代
飢饉・疫病・変乱
困窮する民衆
『鄭鑑録』の世界
民訴の時代
勢道政治下の民衆
民衆宗教東学の誕生
2 民乱の時代
民乱と両班
三南大騒乱
民衆の国王幻想
民衆の外国人観
異端東学の教説
3 民衆反乱のフォークロア
反乱の大義
農民軍の進撃
地上天国の到来
逸脱する農民軍
女性戦士=李召史の悲劇
全 準と民衆
第6章 近代化と民衆
1 甲午改革と民衆
一君万民政治
賤民の解放
奴婢の解放
真霊君の追放
警察と民衆
断髪令と民衆
2 新しい政治文化の誕生と民衆運動
大韓帝国と独立協会
女性運動の始まり
褓負商団の解体と独立協会
公論と民訴の行方
士意識の拡散
辺境の反乱
3 民衆の迷走と覚醒
大韓帝国の警察支配と民衆
近代文明と民衆
女性の近代教育
民衆ナショナリズムの高揚
義兵と民衆
キリスト教の大復興運動と民衆
第7章 周縁的民衆の覚醒
1 義賊の時代
活貧党の誕生
義賊の出自と掟
活貧党の作法
活貧党と民衆
反逆の論理
2 褓負商の近代
褓負商団の再興
増長する褓負商
排外主義と愛国
褓負商団の消滅
3 白丁の近代
解放と迫害
高宗と賤民
異形の白丁吉永洙
白丁の国民化
4 近代化と女性
「賢母良妻」論の成立
女性の国権回復運動
妓生の愛国精神
大韓帝国期の妓生
第8章 民衆の行方と現代
1 三・一運動と民衆
韓国併合と民衆
三・一運動の興起
祝祭としての三・一運動
旧白丁の三・一運動
三・一運動と女性
儒教的民衆観の転回
2 儒教国家の過去と現在
儒教国家の現実
這い上がりと分かち合いの社会
現代韓国の政治文化
あとがき
主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

かんがく

12
「朝鮮半島」ではなく、「朝鮮王朝」の民衆史がテーマ。時代的には日本の江戸〜明治にあたるので、日本との比較で理解が深まる。背景にある儒教的な一君万民と民本主義の思想、両班への上昇志向、緩やかな身分制などが繰り返し言及され、被差別民、アウトロー、女性など社会の周縁に置かれた人々の記述も多いため、多様な視点を得ることができた。最後は現代韓国との繋がりにまで話が至る。2025/01/26

tegi

2
K-POP文化の諸要素を想起させる事柄が多く驚く。ソンムル交換、センイルカフェ、アイドルの社会貢献重視あたりは相互扶助を重視する社会ならではなのかもと思えてくる。繰り返されてきたボトムアップの社会改革の動きはファンダム組織の強さも想起させる(もちろん、先の尹錫悦による戒厳令へのカウンターも)。日本による占領期の民衆精神もわずかだが描かれており、歴史上の出来事の背景を理解するためにも有益な一冊と感じた。2025/04/21

mirun

2
記録に残りにくく、また概念としても曖昧になりがちな民衆史を扱う点で非常に良かった。指導者中心の運動だけではなく民衆の躍動をとらえる下からの運動を考えるべきというのはどの国の社会史も必要な視点ではないか。 面白かったのは、朝鮮が儒教をヘゲモニー宗教にしつつ基底には巫俗信仰を強固に抱えている話。映画等でもキリスト教との習合を見て不思議だったが、なるほど…という納得があった。また、ヘゲモニー宗教としての儒教というのは、却って民衆に儒教倫理の内面化を強める傾向もあるようで、社会と宗教の微妙なバランスを感じる。2025/01/03

A.Sakurai

2
私は古墳時代への興味が強いので朝鮮半島の歴史は三韓時代ぐらいしか知らない.それも政治史なので李氏朝鮮の民衆史となるとさっぱり.なので岩波の広告で見かけて読んでみた.隣国なので細切れの事物は見聞きするが,その原因や成り立ちなどの解釈は「へぇ」の連続.儒教(朱子学)の考え方が良くも悪くも大きく影響し,一方で古くからの身分制や信仰が基本レイヤに残ってひねった表現型となって現れる.上昇志向と平等志向の併存.極端な女性蔑視.妓生の独特な在り方.キリスト教と巫俗の関係.植民地時代の反乱の特性などなど.2024/09/19

転天堂

1
韓国時代劇ドラマの補習として読了。中国から移入された儒教、とりわけ朱子学がヘゲモニーを握った支配層と社会であったが、民衆は巫俗や仏教、道教などを捨てたわけではなくそれらを信仰しながらも、支配思想をも受容し支配階級である両班にあこがれるという意識も持っていた。このあたりは明治維新をきっかけに旧士族になりたがった近代日本人にも通じるところがあるように思えるが、筆者は上昇志向とともにユートピア的な平等思考という相いれない思考が朝鮮社会の民衆に共有されていたとしている。2024/11/06

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