内容説明
欧米を中心に一九八〇年代以降,台頭した新自由主義の教育改革.競争原理や成果主義を主軸とする改革は,公教育の衰退など様々な弊害を生んだ.国内外で見直しも進むなか,大阪の改革は勢いを増す.学力による子ども・学校の選別,教員への管理強化などの政策がもたらした問題を丹念に検証し,いま改めて教育の意味を問う.
目次
序──検証なき改革を検証するために
第1章 新自由主義的教育改革の潮流──歴史を振り返る
1 新自由主義的教育改革の系譜
2 日本の新自由主義的教育改革──二〇〇〇年代以降の政策転換
3 大阪の教育改革を検証する意義
第2章 大阪の教育改革を振り返る──政治主導による政策の転換
1 教育改革の幕開け──府民討論会の開催
2 改革を支える思想とは
3 改革以前の大阪の教育──人権・同和教育の歴史に学ぶ
4 教育政策の大転換
第3章 公正重視から卓越性重視へ──学力政策はどう変わったか
1 教育課題としての学力問題
2 前のめりな学力向上政策
3 学力テストは教育現場に何をもたらしたか
第4章 格差の拡大と地域の分断──小・中学校の学校選択制
1 学校選択制の歴史と現状
2 大阪市の学校選択制──全国的な流れに反して
3 学校選択制はいま──広がる格差と地域の分断
第5章 高校の淘汰と進路保障の危機──入試制度改革と再編整備
1 人権保障としての進路保障
2 淘汰される高校、狭められる進路
3 チャレンジテストは中学校教育にどう影響したか
第6章 改革は成果を上げたのか──新自由主義的教育改革の帰結
1 教育課題は克服されたか──子どもたちの現実
2 保護者と学校は改革をどうみているか
3 検証なき改革の果てに
第7章 新自由主義的教育改革に対抗するために
1 子どもたちの現実に向き合う──応答性の意味
2 子どもの育ちは目的か手段か
3 教育改革の展望
参考文献
あとがき
感想・レビュー
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江口 浩平@教育委員会
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