岩波新書<br> あいまいさに耐える - ネガティブ・リテラシーのすすめ

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岩波新書
あいまいさに耐える - ネガティブ・リテラシーのすすめ

  • 著者名:佐藤卓己
  • 価格 ¥1,012(本体¥920)
  • 岩波書店(2024/08発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004320265

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内容説明

SNS等に溢れるあいまい情報に飛びつかず,その不確実性に耐える力が輿論主義(デモクラシー)の土台となる.世論駆動のファスト政治,震災後のメディア流言,安保法制デモといった二〇一〇年代以降のメディア社会を回顧し,あいまいさに耐えられない私たちにネガティブ・リテラシー(消極的な読み書き能力)を伝授する.

目次

はじめに──輿論主義のために
第一章 ファスト政治
1 政権交代選挙前、私はこう書いた(二〇〇九年七・八月)
2 マニフェスト選挙の消費者感覚(二〇一〇年一月)
3 ファスト政治と世論調査民主主義(二〇一〇年一〇月)
第二章 メディア流言
1 「想定外」の風土(二〇一一年五月)
2 危機予言とメディア・リテラシー(二〇一一年一〇月)
3 「災後」メディア文明論と「輿論2・0」(二〇一四年二月)
第三章 デモする社会
1 論壇はもう終わっている(二〇一四年二月)
2 「デモする社会」の論壇時評(二〇一二年八月)
3 ファスト政治と「輿論2・0」(二〇一〇年六月)
第四章 情動社会
1 世論調査の「よろん」とは?(二〇一六年二月)
2 もうパブリック・オピニオンはないのか(二〇一六年六月)
3 報道の自由度ランキング(二〇一六年一一月)
第五章 快適メディア
1 玉音から玉顔へ(二〇一七年一二月)
2 「変化減速」時代の快適メディア(二〇二〇年五月)
3 例外状況の感情報道(二〇二一年三月)
第六章 ネガティブ・リテラシー
1 戦争報道に「真実」は求めない(二〇二二年九月)
2 AI時代に必要な耐性思考(二〇二二年三月)
3 ネガティブ・リテラシーの効用(二〇二三年一一月)
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

けんとまん1007

56
常々、感じていることであり、考えていることでもある。立ち止まって考える。熟慮・・・・には、ほど遠いレベルだとは思うが、心がけている。メデイア、ネットに溢れる情報に対する捉え方は、書かれていることに近いものがある。2025/02/14

buuupuuu

28
現状の政治は、公共的な議論ではなく、大衆の気分に左右されている。論壇はほとんど影響力を持ったことがなく、メディアは空気や情緒に働きかけている。世論調査がその典型である。このような傾向が行き着く先は、たとえば、統計的手法によって大衆の嗜好を測り、テクニカルにそれを解決していくというような政治かもしれない。著者はこのような状況に問題があると考えている。しかし理性的な公共圏を回復すればよいなどと楽観的になることもできない。著者が提唱するのは、問題解決力や判断力ではなく、あいまい情報に耐える力の涵養である。2024/11/03

藤井宏

17
マスメディアの責任をただ追求していればよかった安楽な「読み」の時代はすでに終わり、一人ひとりが情報発信の責任を引き受ける「読み書き」の時代となっている。(AI時代となり)情報の真偽を見分けることは容易ではない。情報をやり過ごし、不用意に発信しない力(ネガティブ・リテラシー)(も重要である)(著者)湾岸戦争のときナイーラ事件というフェイクニュースが発信された。たとえセンセーショナルなニュースであってもすぐに反応しないよう、こころがけたい。2025/05/29

にゃにゃころ

16
情報が溢れ過ぎていて、正しいのかどうか調べれば調べるほどわからなくなる沼にハマる。「のちに真偽がわかるという時間解決が多いから、あいまいなままにしておく。すぐに結論を出そうとしないで、我慢して耐える」ことが大事。出どころをきちんと調べて、正しいかどうか判断するっていう時代はもう終わってたんだな。もうひとつわかったことは、世論調査=国民感情調査ということ。日頃世論調査で感じていた違和感の答えはこれだった。現実もネットの世界も瞬時の感情で溢れている。感情的にならず、ひと呼吸おいて、わからないことは喋らない。2024/11/05

かんがく

12
歴史学者としての著者の作品は数冊読んだことがあったが、この作品は時事についての著者の論評をまとめたもの。ただ「時事」といっても民主党への政権交代の頃から始まるので、もはやそれ自体が「歴史」になりつつあり、現在問題になっているネット世論や情報の氾濫などのテーマの萌芽的なものが見れる点が、「時事」の始まりであり、ある程度長いスパンでの「歴史」である。2024/12/12

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