文春e-book<br> 透明マントのつくり方 究極の〝不可視〟の物理学

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文春e-book
透明マントのつくり方 究極の〝不可視〟の物理学

  • ISBN:9784163918853

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内容説明

「不可視」は魔法がなくても科学で実現できる?
誰もが夢見た「透明マント」は実現できるのか!?
マンガのような本当の理論を真面目に解き明かす、意外なポピュラーサイエンス!

古くは『透明人間』、近年なら『ドラえもん』『ハリー・ポッター』の透明マントまで、「人/物を不可視にする」ことは常に人を魅了します。 しかし今、そんな「光をよけさせて、目に見えないようにする」技術が真剣に研究され、試作品までできていることをご存知でしょうか?

本書はそんな「透明化」の科学史を、まさにその研究を最前線で行う科学者が解き明かす本格派の科学本です。 しかも、著者は思い切りSFマニア。折々の科学の進歩を取り入れたSF作品を掘り起こし、いかにフィクションが当時の最先端の科学に目を配ってきたか、しかもときにはSFがのちの発見を予言してきたか、という文化×科学の進歩も描くことで、他の科学本にない独特な面白さが生まれています。

「透明化」というテーマは空想めいて見えますが、意外なことにその歴史をひもとくことは、新たな切り口で物理の歴史を語ることでした。 そして著者の語りの巧さが、難解な部分もわかった気にさせてくれ、物理の偉人からニッチな分野の不遇の名研究者たち、歴史に埋もれたSF作家たちまで、様々な人間味あふれるエピソードも楽しめます。
巻末にはウソかまことか「おうちで作れる透明化デバイス」、そして「古今透明SF小説リスト」といった付録も。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

小太郎

33
この本は題名に惹かれて読みました。装丁など見ると軽い読み物かなと思ったんですが、結構アカデミックな内容でした。人間を不可視にするという事案は昔からとても魅力的でギリシャ神話のハーデスの兜から透明人間、ハリーポッターの透明マント、光学迷彩など、物語や小説も数多くあります(作者のSF好きなのも好感度マシマシ)。ニュートンの光に対する考察から始め量子力学的な発展まで多岐にわたって見えること、見えないことの考察が綴られていました。★3.52025/04/18

本の蟲

14
成程わからん。みんな大好き光学迷彩。しかし物の不可視化を実現するためには、物体とは?光とは?を解明する必要がある。赤外線、紫外線、X線の発見。光の波動説提唱。磁石・電気・光の関係から電磁波という考えへ。物体の原子構造と電子の関係。波動と粒子の二重性から量子力学へ。フィクションの透明化アイテムも各所で紹介されているが、概ね古典物理学から量子物理学までの科学史総解説。ご丁寧に今では否定されている学説や原子モデルまで説明されているが、少しは加減しろ。読み飛ばしもせずに必死に文章追ってみたものの、成保成程わからん2025/01/15

kamekichi29

9
著者は物理・光学の大学教授ということもあり思ってたより、科学的な内容でした。前半は工学の科学史といった感じで、光や電磁波の原理的な話。光の屈折を変えられる物質を作ることによって、光の道筋を変えることによって、見えなくするという感じでしょうか。 最後に、光を曲げるという原理から地震波や電磁波から防護するという応用も考えられているという話が興味深かったです。2025/04/10

スプリント

9
透明マントにつながる物理学や科学、化学の進歩の歴史を知ることができる。 不可視の実現はなかなか難しいようです。2024/11/23

ろべると

9
透明マントを題材にすると、わりと広い読者の関心を惹くのだろう。本書はウェルズの「透明人間」なども紹介しつつ、光学や電磁気学の重要なトピックを解説するが、平易な語り口とこなれた翻訳が大いに成功している。それにしても昔はダヴィンチやシュヴァイツアーを引くまでもなく、SF作家や製本工やプロの音楽家が重要な科学の発見をしていたのだ。透明マントに関係するメタ構造体などは最後の方で説明されるが、洋上施設を襲う巨大波の緩和とか、地震波からの建造物防護への応用なども紹介される。この方が透明マントよりよほど役に立ちそうだ。2024/11/13

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